IPO

【トライト】新規上場企業データ分析 公募割れリスク38%

トライトグループは、「ひとりの明日を変えることから、社会の未来を変えていく。」というビジョンの下、介護・看護・保育業界を中心とした人材紹介・派遣サービスを行う「医療福祉」と、創業当初から取り組んでいる「建設」の主に2つの事業領域で全国展開している企業です。

東京証券取引所(東証)または地方証券取引所へ新規上場予定の企業について、独自の視点でデータ分析しています。

企業概要

会社名

株式会社トライト

創立年

2004年11月

本社所在地

〒530-0057 大阪府大阪市北区曽根崎2-12-7 清和梅田ビル13階

事業内容

  • 日本を代表するスーパーゼネコン・大手ゼネコンを中心とした全国各地の取引先が担う建設現場に、施工管理を行う技術者(現場監督)の人材派遣・人材紹介事業
  • 医療福祉領域(介護・看護・保育業界)を中心とした人材紹介・人材派遣事業

 

事業説明

株式会社トライトは、人材サービス及びデジタルソリューションを通じて医療福祉従事者が働きやすい職場環境の構築を支援し、医療福祉人材紹介における“高成長”ד高収益率”の リーディング企業です。

超高齢化社会といった課題に直面している中、DX推進やAIの活用による新たな事業の創出、サービスの提供を通じて、医療福祉を中心とするエッセンシャル産業に起因する社会課題の解決を目指して、介護・看護・保育業界を中心とした人材紹介・派遣サービスを行う「医療福祉」と、創業当初から取り組んでいる「建設」の主に2つの事業領域で全国展開しています。

医療福祉向け人材紹介・人材派遣事業

医療・福祉領域では、看護師、保育士、ケアマネージャーや介護職の他、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、栄養士、歯科医師、歯科衛生士、臨床検査技師、臨床工学技士、診療放射線技師などの様々な専門職の方々に対して、全国約1,500人のキャリアアドバイザーが、医療福祉領域で活躍される幅広い専門職を網羅した情報提供を行うことで、地域特性や各施設のニーズに沿った人材サービスを展開しています。

建設向け人材紹介・人材派遣事業

日本を代表するスーパーゼネコン・大手ゼネコンを中心とした全国各地の取引先が担う建設現場に、施工管理を行う技術者(現場監督)の人材派遣・人材紹介事業を行っています。トライトグループには、経験豊富な建設施工管理、土木施工管理、設備施工管理、電気施工管理、プラント施工管理者から、設計、施工図作成、CADオペレーターまで幅広い分野で多数の技術者が在籍し、若手人材も充実しています。
47都道府県で地域格差なくサービスを展開するとともに、各地域の専任コンサルタントが顧客のニーズとマッチする人材をスピーディーに紹介しています。幅広い層の人材派遣、紹介によって、建設業界における日本のインフラを支えるエッセンシャルワーカーの人材不足といった課題解決に貢献しています。

財務状況

売上高、利益などの業績推移を目論見書からアップロードしました。

会社業績(IR BANKより) 横スクロールできます

年度 売上収益 営利 当期利益 当期包括利益 EPS ROE ROA 営利率 原価率 販管費率
Dec-21 24.2億 -2.89億 -5.32億 -5.32億 -5.32 赤字 赤字 -11.95 41.92 69.66
Dec-22 442億 59.6億 36.2億 36.2億 36.21 17.22 4.85 13.48 32.09 55.07

 

財務状況(IR BANKより) 横スクロールできます

年度 総資産 資本合計 株主資本 株主資本比率 利益剰余金 有利子負債 有利子負債比率 BPS
Dec-20 0 -1481 0
Dec-21 683億 174億 174億 25.4 -5.33億 409億 235.47 173.72
Dec-22 746億 210億 210億 28.2 30.9億 430億 204.31 210.26

 

IPO情報

新規上場(IPO)に向けて、幾つかの重要な情報をまとめました。

基本情報

業種:サービス業

銘柄コード:9164

上場区分:東証グロース

 

IPO日程

ご利用の証券会社によって、多少のズレが生じますので、ご注意ください。

IPO主要日程 横スクロールできます

ブックビルディング期間 2023年7月6日〜7月11日
ブックビルディング抽選日 2023年7月12日
購入申込期間 2023年7月13日〜7月19日
上場日 2023年7月24日

 

IPO情報

IPOに関する公募総数や公募価格(予定)をまとめます。

IPO情報 横スクロールできます

公募株式総数 40,000,000株
売出株式比率 100.0%
O.A分 6,000,000株
想定価格 1,620円
仮条件価格 1,100円(68%)〜1,300円(80%)
公募価格 1,300円(予定)
吸収金額 598.00億円(予定)
ロックアップ 主に180日間
主幹事 SMBC日興証券&三菱UFJモルガン・スタンレー証券

 

今後の展望や懸念事項

労働力不足が深刻化する中、株式会社トライトでは人材事業の枠に留まらず幅広いサービスやソリューションを提供することで、医療福祉従事者にとって働きがいのある職場環境づくりを支援し、患者や施設入居者等の全てのステークホルダーのQOL向上にも貢献しています。

現在有料人材紹介サービスを利用している医療福祉従事者は、介護領域において約19%、看護領域において約30%、保育領域において約48%と依然として拡大余地がある水準で、医療福祉業界では多数の小規模施設が存在するため、依然として契約施設数においても十分な拡大余地があり、現在全国28都道府県に保有する営業拠点を活用しつつ、更なる新規エリアへの出店を継続的に行うことで、登録求職者数及び契約施設数の拡大を目指しています。

中長期的には、デジタルネイティブ世代が転職市場において占める割合が高くなることが予測され、それに伴い知人紹介やハローワークの利用等の従来の転職方法では無く、デジタルマーケティ ングを使った人材紹介サービスの利用率が向上することが見込まれます。ダイレクト・リクルーティング事業に対するニーズが、医療福祉業界においても顕在化し始めており、今後需要が拡大することが見込まれています。

また、M&Aや事業提携を多数実行しており、直近3年間においても、毎年着実にM&Aによる事業拡大を実現しており、今後も新規事業の加速化を企図したM&Aを積極的に行っていく方針です。

独自評価及びスコア

これまでの投資経験を活かしたデータ分析で、独自評価及びスコアを付けています。

独自評価スコア:D6

※独自評価スコアはD4(低評価)〜S20(高評価)まで存在します。

独自の評価指標

2017年1月から2023年5月までの過去6.5年間にIPO新規上場(IPO)した企業は、トータル615社でした。

それらの企業データから、以下の9の項目について、ホームページや目論見書(IPO時に発行される報告書)を調査して、上場前に初値上昇率や損失リスク度を分析しています。

  1. 業種(最近、情報通信業の初値上昇率は比較的高い傾向)
  2. 業績(売上高や利益率が健全に成長しているか)
  3. 上場市場(現在、東証プライムに上場する大型株は、初値が上昇しづらい傾向)
  4. 主幹事(IPOを管理する証券会社で多少の影響がある)
  5. 公開株数(少ない方がプラチナチケットになり易いが、当選しづらくなる)
  6. 売り出株式比率(新規発行分と既存分の比率で、低い方が上がり易い)
  7. ロックアップ(大株主が上場日から一定期間、売却できない期間のことで、長めの設定が良い)
  8. 株単価(安い方が、初値上昇率は高くなる傾向)
  9. 同日上場企業数(同日に複数社がIPOする場合は資産が分散して上がりづらい傾向)

これらの9項目の分析結果から、初値上昇があまり期待できそうにない企業については、予めBB申込を辞退して、マイナス=損失リスクを軽減しています。

初値上昇率の予想

2017年1月から2023年5月までの過去6.5年間にIPO新規上場(IPO)した企業は615社で、評価スコア「D6」の企業は37社ありました。

それら企業における初値上昇率(=初値/公募価格)は以下の通りです。

過去データを基に算出した初値上昇率 横スクロールできます

平均値 103%(1.03倍)
最大値 165%(1.65倍)
最小値 79%(公募割れ)
中央値 101%(1.01倍)

過去6.5年間で公募割れした企業は14ありましたので、初値の公募割れリスクは38%です。

平均値とは、データの合計をデータの個数で割って得られる値=平均値に対して、中央値とは、データを大きさの順に並べ替えたとき、ちょうど順番が真ん中になる値です。平均値の場合は他の値と比べて極端に大きい(または小さい)値があることによって、影響を受けてしまいますが、中央値の場合は、真ん中の値ですので、そのような影響は受けづらいのが特徴です

 

管理人のBBスタンス

過去のデータを分析した独自評価スコアに応じて、管理人のブックビルディング(BB)のスタンスを決めています。

公募割れリスクが高めで、また同日に人気を集めそうな別のIPO上場と重なっており、初値上昇の期待は薄いので、「IPOチャレンジポイントを獲得するためにSBI証券のみ100株のBB申込予定」です。

公開株数が多めなので当選しやすい案件ですが、特に主幹事の大和証券が狙い目です。

最後に

不安定な世界情勢や世界各国の利上げ、さらには米シリコンバレー銀行の破綻やクレディ・スイスの破綻など、株式にとってはマイナス要因が多い状況なので、日本国内のIPO新規上場企業への株式投資に対しても、今まで以上に慎重に検討する必要が出てきています。

今回の記事が、あなたの投資判断に有益になれば幸いです。

最後に、あくまで営利を伴わない個人的な自己分析なので、最終的な投資判断は自己責任でお願い致します。