IPO

【トライアルホールディングス】新規上場企業データ分析

東京証券取引所(東証)または地方証券取引所へ新規上場予定の企業について、独自の視点でデータ分析しています。

企業概要

会社名

株式会社トライアルホールディングス

創立年

2015年9月

本社所在地

〒813-0034  福岡県福岡市東区多の津1-12-2

事業内容

  • 小売、物流、金融・決済、リテールテックなど、各事業を中心とした企業グループの企画・管理・運営

 

事業説明

トライアルホールディングス社は、「流通小売事業」、「リテールAI事業」等の事業を運営しています。

(1) 流通小売事業

多様な店舗フォーマットとワンストップショッピングを可能にする豊富な商品ラインナップ
「あなたの生活必需店」をストアコンセプトとした「TRIAL」ブランドのディスカウントストアを全国に展開。営業時間は原則24時間としており、何でも・いつでも・欲しいものがお得に買えるワンストップショッピング ストアとして、利便性や価格優位性が特徴。

ローコストオペレーションを確立したユニークな店舗運営
アライアンス先との物流網の共有化を通じた自社物流による最適化等、効率的な仕入れの確立と徹底したコスト管理、最適化した物流網の整備、リテールテックを活用した省力化によって、ローコストオペレーションを実現。

リテールテックを活用した独自のビジネスモデル
自社開発のPC-POSシステムによって顧客データの蓄積と活用をはじめており、現在は各メーカー企業とお客様の購買情報がスムーズに連携できるデータベースエンジンの運用や商品の自動発注等を可能にする独自のPACERを活用した効率的な店舗オペレーションを実現。更には会計手続きを省力化するスマートショッピングカートの導入を開始したほか、お客様の動線や商品の在庫を記録するAIカメラや商品の販促等に活用するデジタルサイネージを導入するなど、リテールテックを活用した独自性のあるビジネスモデルを構築している。

(2) リテールAI事業

小売事業者や食品・消費財メーカーに対して、お客様の買い物体験の向上やリアル店舗のオペレーション改善、広告・販売促進活動の効率化等に資するプロダクトやソリューションを提供している。

主力プロダクトであるスマートショッピングカートは、セルフスキャンによるレジ待ちの解消及びレジ人時の削減やクーポン・レコメンドを活用した実店舗におけるワン・トゥ・ワンマーケティングなど、新しい価値をお客様、小売事業者、食品・消費財メーカーに提供。

(3) その他

「食」のブランディングを通じて本業である流通小売業における「ロイヤルカスタマー」を確立するため旅館施設である「久織亭(くおりてい)」、「虎の湯」、「古民家煉り(ねり)」やゴルフ場運営 などのリゾート関連事業及び建築・不動産管理等を行っている。

 

財務状況

売上高、利益などの業績推移を目論見書からアップロードしました。

会社業績(IR BANKより) 横スクロールできます

年度 営業収益 営利 経常 純利 包括 EPS ROE ROA 営利率 原価率 販管費率
Mar-18 3.61億 2.11億 1.43億 1.46 0.63
Mar-19 4.25億 2.64億 1.9億 1.94 0.89
Mar-20 25.5億 15.7億 18.1億 18.55 7.27
Mar-21 89.4億 68.6億 65.1億 66.63
Jun-21 1574億 20.3億 30.5億 18.5億 19億 18.9 3.59 1.08 1.29 81.89 17.17
Jun-22 5977億 120億 127億 71.4億 70.2億 73.04 12.31 3.84 2.02 81.22 17.13

財務状況(IR BANKより) 横スクロールできます

年度 総資産 純資産 株主資本 自己資本比率 利益剰余金 有利子負債 有利子負債比率 BPS
Mar-18 229億 199億 86.9
Mar-19 214億 201億 93.7
Mar-20 249億 219億 87.9
Mar-21 502億
Jun-21 1714億 528億 506億 30 469億 278億 53.93 526.91
Jun-22 1857億 597億 572億 31.2 537億 243億 42.01 593.29

IPO情報

新規上場(IPO)に向けて、幾つかの重要な情報をまとめました。

基本情報

業種:小売業

銘柄コード:5882

上場区分:東証グロース

 

IPO日程

ご利用の証券会社によって、多少のズレが生じますので、ご注意ください。

IPO主要日程 横スクロールできます

ブックビルディング期間 2023年3月27日〜3月31日
ブックビルディング抽選日 2023年4月3日
購入申込期間 2023年4月4日〜4月6日
上場日 2023年4月12日

 

IPO情報

IPOに関する公募総数や公募価格(予定)をまとめます。

IPO情報 横スクロールできます

公募株式総数 25,655,600株
売出株式比率 7.2%
O.A分 3,848,300株
想定価格 2,000円
仮条件価格 1,800円(90%)〜2,000円(100%)
公募価格 2,000円(予定)
吸収金額 590.08億円(予定)
ロックアップ 180日間
主幹事 大和証券&三菱UFJモルガン・スタンレー証券

 

今後の展望や懸念事項

トライアルホールディングス社は「流通小売事業」、「リテールAI事業」及び「その他事業」 の3つの事業セグメントで構成されておりますが、以下のような自社ではコントロールできない懸念も存在しております。

  • 店舗拡大及び店舗改装と人材確保及び労働環境の変化
  • 新型コロナウイルス感染症による影響
  • 消費者需要、天候及び季節性等事業を取り巻く外部環境
  • 仕入価格及び原油・原材料価格等の上昇
  • 競合による影響
  • その他

一方、流通小売業界には、食品の廃棄物や欠品などによるムダや在庫・物流が最適化されていないことによるムラ、 商習慣として古くから存在するリベート等のムリなど、サプライチェーンにおける各種工程の中に『ムダ・ム ラ・ムリ』が約40兆円も存在しており、この「ムダ・ムラ・ムリ」の削減を推進すると同時に、お客様への新しいお買い物体験の提供、食品・消費財メーカーや物流企業と協業したサプライチェーン改革・マーケティング改革の推進、テクノロジーを活用したオペレーションの効率化などに取り組むことで、更なる成長が期待できる可能性があります。

独自評価及びスコア

これまでの投資経験を活かしたデータ分析で、独自評価及びスコアを付けています。

独自評価スコア:D7

※独自評価スコアはD4(低評価)〜S20(高評価)まで存在します。

独自の評価指標

過去6年間にIPO新規上場(IPO)した企業は、トータル591社でした。

それらの企業データから、以下の9の項目について、ホームページや目論見書(IPO時に発行される報告書)を調査して、上場前に初値上昇率や損失リスク度を分析しています。

  1. 業種(最近、情報通信業の初値上昇率は比較的高い傾向)
  2. 業績(売上高や利益率が健全に成長しているか)
  3. 上場市場(現在、東証プライムに上場する大型株は、初値が上昇しづらい傾向)
  4. 主幹事(IPOを管理する証券会社で多少の影響がある)
  5. 公開株数(少ない方がプラチナチケットになり易いが、当選しづらくなる)
  6. 売り出株式比率(新規発行分と既存分の比率で、低い方が上がり易い)
  7. ロックアップ(大株主が上場日から一定期間、売却できない期間のことで、長めの設定が良い)
  8. 株単価(安い方が、初値上昇率は高くなる傾向)
  9. 同日上場企業数(同日に複数社がIPOする場合は資産が分散して上がりづらい傾向)

これらの9項目の分析結果から、初値上昇があまり期待できそうにない企業については、予めBB申込を辞退して、マイナス=損失リスクを軽減しています。

初値上昇率の予想

過去6年間にIPO新規上場(IPO)した企業は591社で、評価スコア「D7」の企業は51社ありました。

それら企業における初値上昇率(=初値/公募価格)は以下の通りです。

過去データを基に算出した初値上昇率 横スクロールできます

平均値 112%(1.12倍)
最大値 215%(2.15倍)
最小値 75%(公募割れ)
中央値 101%(1.01倍)

公募割れした企業は23社あり、約45%の企業が初値で公募価格を下回ったことになります。

平均値とは、データの合計をデータの個数で割って得られる値=平均値に対して、中央値とは、データを大きさの順に並べ替えたとき、ちょうど順番が真ん中になる値です。平均値の場合は他の値と比べて極端に大きい(または小さい)値があることによって、影響を受けてしまいますが、中央値の場合は、真ん中の値ですので、そのような影響は受けづらいのが特徴です

 

管理人のBBスタンス

過去のデータを分析した独自評価スコアに応じて、管理人のブックビルディング(BB)のスタンスを決めています。

トライアルホールディングス社の初値は公募割れ(初値が公募価格を下回ること)のリスクがありますので、「SBI証券口座のみIPOチャレンジポイントを獲得するために100株分のみBB申込、その他のすべての所有口座はBB辞退する予定」です。

更に吸収金額が500億円を超える超大型なIPOなので、初値上昇に対しては重い状況です。

最後に

不安定な世界情勢や世界各国の利上げ、さらには米シリコンバレー銀行の破綻やクレディ・スイスの破綻など、株式にとってはマイナス要因が多い状況なので、日本国内のIPO新規上場企業への株式投資に対しても、今まで以上に慎重に検討する必要が出てきています。

今回の記事が、あなたの投資判断に有益になれば幸いです。

最後に、あくまで営利を伴わない個人的な自己分析なので、最終的な投資判断は自己責任でお願い致します。