IPO

【テクニスコ】新規上場企業データ分析 過去の公募割れリスクは僅か9%

株式会社テクニスコは、社会的使命、永続的な目標および企業としての姿勢を「The TECNISCO WAY」として企業理念に掲げ、その社会的使命として掲げた「高度なクロスエッジTechnologyへの継続的なチャレンジによって人びとの喜びの実現の一助となる」を果たすため、「切る」「削る」「磨く」「メタライズ(非金属の表面への金属 膜化)」「接合」を中心とした複数の先端加工技術を融合させた「クロスエッジTechnology」で、真の顧客ニーズと市場ニーズを捉えたモノづくりに取り組んでいる企業です。

東京証券取引所(東証)または地方証券取引所へ新規上場予定の企業について、独自の視点でデータ分析しています。

企業概要

会社名

株式会社テクニスコ

創立年

1970年2月14日

本社所在地

〒140-0004 東京都品川区南品川2-2-15

事業内容

ヒートシンク製品及びガラス製品等の製造・販売を行う精密加工部品事業

事業説明

株式会社テクニスコは、精密加工部品事業を運営しており、製造販売する製品群としては、「ヒートシンク製品」「ガラス製品」及び「その他」に区分され、それぞれ以下の通りです。

ヒートシンク製品

電子部品が機能する際に発生する熱を吸収し放熱して、性能低下や故障を防ぐことを目的とした構成部品であり、半導体レーザー向け、パワー半導体向け、MPU向け等の高機能ヒートシンク製品を提供しています

ガラス製品

光透過性、電気的絶縁性、気密性、耐薬品性などの特徴を持つ電子部品用ガラスに、微細な形状加工や金属回路形成加工を行い、電子デバイスと組み合わせることで電子デバイスの機能性を上げる構成部品で、半導体センサーなどの電子デバイスの小型化、高機能化を可能とするための付加価値を高めた「ガラス製品」が求められており、各種センサー向け、モバイル機器向け、バイオ・医療向け等の精密ガラス製品を提供しています

その他

各種金属材料、シリコン(Si)材料、窒化アルミニウム(AlN)や酸化アルミニウム(Al2O3)などのセラミック材料の加工製品を提供しており、ガラスやセラミック加工用のダイヤモンドツールも提供しています

財務状況

売上高、利益などの業績推移を目論見書からアップロードしました。

 

会社業績(IR BANKより) 横スクロールできます

年度 売上 営利 経常 純利 包括 EPS ROE ROA 営利率 原価率 販管費率
Mar-18 44.3億 420百万 592百万 90.82 9.97
Mar-19 36.5億 220百万 135百万 20.75 2.1
Jun-19 8億 37百万 -1.9百万 -0.29 赤字
Jun-20 33.4億 183百万 132百万 20.24
Jun-21 43.5億 154百万 354百万 277百万 3.43億 42.55 11.41 4.22 3.55 63.91 32.54
Jun-22 54.8億 620百万 888百万 803百万 10.9億 123.18 22.82 9.86 11.3 59.75 28.95

 

財務状況(IR BANKより) 横スクロールできます

年度 総資産 純資産 株主資本 自己資本比率 利益剰余金 有利子負債 有利子負債比率 BPS
Mar-18 59.4億 31.5億 53.1
Mar-19 64.5億 32.9億 51.1
Jun-19 65.3億 32.9億 50.4
Jun-20 25.4億
Jun-21 65.7億 24.3億 22億 37 -242百万 29.1億 119.8 372.86
Jun-22 81.4億 35.2億 30億 43.2 561百万 26.9億 76.41 539.89

 

IPO情報

新規上場(IPO)に向けて、幾つかの重要な情報をまとめました。

基本情報

業種:非鉄金属業

銘柄コード:2962

上場区分:東証スタンダード

 

IPO日程

ご利用の証券会社によって、多少のズレが生じますので、ご注意ください。

IPO主要日程 横スクロールできます

ブックビルディング期間 2023年7月7日〜7月12日
ブックビルディング抽選日 2023年7月14日
購入申込期間 2023年7月18日〜7月20日
上場日 2023年7月26日

 

IPO情報

IPOに関する公募総数や公募価格(予定)をまとめます。

IPO情報 横スクロールできます

公募株式総数 2,281,000株
売出株式比率 0.0%
O.A分 342,100株
想定価格 450円
仮条件価格 510円(113%)〜560円(124%)
公募価格 560円(予定)
吸収金額 14.69億円(予定)
ロックアップ 主に90日間
主幹事 野村證券

 

今後の展望や懸念事項

株式会社テクニスコは、産業機器市場、自動車市場、光・無線通信市場、ライフサイエンス市場、航空宇宙市場、環境エネルギー市場向けのヒートシンク製品、ガラス製品及びその他の精密加工部品の製造販売を行っており、基本的には顧客ごとの要求仕様を受託し、試作から量産までにおいて製品化していく受注生産となります。 「切る」「削る」「磨く」「メタライズ」「接合」の加工技術を組み合わせる「クロスエッジTechnology」を、最先端の開発や生産に活かし、顧客の要望を叶え製品化させる技術力及び実現力が、強みとなっています。 一般的な専業メーカーの場合、例えば「切る」を専業とするメーカーであれば、その後に「磨く」工程や「メタライ ズ」といった加工工程が必要である場合、それぞれを専業とするメーカーに外注することで最終的に製品化することになりますが、当社グループはこれらの複数加工技術を自ら組み合わせて製品を完成させることができるので、顧客へ「クロスエッジTechnology」の特長におけるメリットを提供することが可能となります。

これまでの受託加工を中心とした事業展開に加え、自社製造の素材をもとにした自社開発製品を新たな事業展開の柱とすべく、当社が提供するサービス等の付加価値をさらに高めていくこととしております。 ガラス製品の用途市場は幅広く、自動車における車載エレクトロニクス市場での半導体センサーをはじめ、自動運転技術でのLiDARセンサー、産業機器における制御装置市場での高周波(RF)スイッチや画像センサー、また、医療機器における分析装置市場での内視鏡やDNA/血液分析などの用途に向けた製品として、ガラス貫通配線基板、立体配線ガラス、マイクロ流路ガラス、 キャップガラスなどのガラス製品を提供しています。

独自評価及びスコア

これまでの投資経験を活かしたデータ分析で、独自評価及びスコアを付けています。

独自評価スコア:C10

※独自評価スコアはD4(低評価)〜S20(高評価)まで存在します。

独自の評価指標

2017年1月から2023年5月までの過去6.5年間にIPO新規上場(IPO)した企業は、トータル615社でした。

それらの企業データから、以下の9の項目について、ホームページや目論見書(IPO時に発行される報告書)を調査して、上場前に初値上昇率や損失リスク度を分析しています。

  1. 業種(最近、情報通信業の初値上昇率は比較的高い傾向)
  2. 業績(売上高や利益率が健全に成長しているか)
  3. 上場市場(現在、東証プライムに上場する大型株は、初値が上昇しづらい傾向)
  4. 主幹事(IPOを管理する証券会社で多少の影響がある)
  5. 公開株数(少ない方がプラチナチケットになり易いが、当選しづらくなる)
  6. 売り出株式比率(新規発行分と既存分の比率で、低い方が上がり易い)
  7. ロックアップ(大株主が上場日から一定期間、売却できない期間のことで、長めの設定が良い)
  8. 株単価(安い方が、初値上昇率は高くなる傾向)
  9. 同日上場企業数(同日に複数社がIPOする場合は資産が分散して上がりづらい傾向)

これらの9項目の分析結果から、初値上昇があまり期待できそうにない企業については、予めBB申込を辞退して、マイナス=損失リスクを軽減しています。

初値上昇率の予想

2017年1月から2023年5月までの過去6.5年間にIPO新規上場(IPO)した企業は615社で、評価スコア「C10」の企業は79社ありました。

それら企業における初値上昇率(=初値/公募価格)は以下の通りです。

過去データを基に算出した初値上昇率 横スクロールできます

平均値 145%(1.45倍)
最大値 394%(3.94倍)
最小値 83%(公募割れ)
中央値 140%(1.40倍)

過去6.5年間で公募割れした企業は7社あり、その公募割れリスクは約9%となります。

平均値とは、データの合計をデータの個数で割って得られる値=平均値に対して、中央値とは、データを大きさの順に並べ替えたとき、ちょうど順番が真ん中になる値です。平均値の場合は他の値と比べて極端に大きい(または小さい)値があることによって、影響を受けてしまいますが、中央値の場合は、真ん中の値ですので、そのような影響は受けづらいのが特徴です

 

管理人のBBスタンス

過去のデータを分析した独自評価スコアに応じて、管理人のブックビルディング(BB)のスタンスを決めています。

僅かに公募割れリスクがありますが、直近の日経平均株価は好調なので、初値上昇が見込めそうなので、「すべての所有口座からBB申込予定」です。

主幹事の野村證券が狙い目です。

最後に

不安定な世界情勢や世界各国の利上げ、さらには米シリコンバレー銀行の破綻やクレディ・スイスの破綻など、株式にとってはマイナス要因が多い状況なので、日本国内のIPO新規上場企業への株式投資に対しても、今まで以上に慎重に検討する必要が出てきています。

今回の記事が、あなたの投資判断に有益になれば幸いです。

最後に、あくまで営利を伴わない個人的な自己分析なので、最終的な投資判断は自己責任でお願い致します。