IPO

【楽天銀行】新規上場企業データ分析

東京証券取引所(東証)または地方証券取引所へ新規上場予定の企業について、独自の視点でデータ分析しています。

企業概要

会社名

楽天銀行株式会社

創立年

2000年1月14日

本社所在地

〒108-0075 東京都港区港南2-16-5 NBF品川タワー

事業内容

  • 電子メディアによる銀行業
 

事業説明

楽天銀行は、楽天グループの100%子会社で、インターネットを活用した銀行です。

日本では個人や法人(事業性個人も含む)に、台湾では個人に、多様なニーズに応える高品質な銀行サービスや金融サービスを低コストで提供しています。例えば、同行間の振込手数料が無料であったり、投資信託や外貨預金などの商品が豊富であったり、デビットカードや信託サービスなどの付加価値を提供しています。また、楽天グループの他のサービスとも連携しており、楽天ポイントや楽天ペイなどを利用でき、口座数・預金量は着実に増加しています。

昨今では、新型コロナウイルス感染症蔓延に伴う外出自粛・リモートワークの促進等により、インターネットバンキングの利便性に関する認知度がさらに向上し、サービスの利便性、価格競争力に対する評価が一層高まった結果、2022年12月末時点の楽天銀行の口座数は1,230万口座、預金量7.7兆円と、日本のインターネット銀行業界において最大の顧客基盤を有しています。

住信SBIネット銀行株式会社、PayPay銀行株式会社、auじぶん銀行株式会社、ソニー銀行株式会社、株式会社大和ネクスト銀行、オリックス銀行株式会社、GMOあおぞらネット銀行株式会社、株式会社みんなの銀行、株式会社UI銀行の開示情報に基づきますと、楽天銀行は日本No.1のインターネット銀行へと成長しています。

財務状況

売上高、利益などの業績推移を目論見書からアップロードしました。

会社業績(IR BANKより) 横スクロールできます

年度 経常収益 経常 純利 包括 EPS ROE ROA
Mar-08 183億 -225億 -234億 赤字 赤字
Mar-09 216億 -346億 -349億 赤字 赤字
Mar-10 339億 17.7億 17.2億 6.45 0.23
Mar-18 791億 234億 163億 99.03 0.66
Mar-19 870億 269億 188億 114.12 0.59
Mar-20 947億 268億 186億 113.2
Mar-21 1034億 276億 193億 203億 117.6 11.51 0.3
Mar-22 1060億 279億 200億 191億 121.87 10.71 0.21

 

財務状況(IR BANKより) 横スクロールできます

年度 資産 純資産 株主資本 自己資本比率 利益剰余金 BPS
Mar-08 0.81兆 163億 203億 1.94 -234億
Mar-09 0.78兆 208億 186億 2.6 -583億
Mar-10 0.76兆 269億 213億 3.53 19.8億
Mar-18 2.47兆 1097億 4.4
Mar-19 3.19兆 1286億 4
Mar-20 1477億
Mar-21 6.49兆 1868億 1674億 2.5 1390億 1021.55
Mar-22 9.49兆 2065億 1874億 1.9 1590億 1137.76

 

IPO情報

新規上場(IPO)に向けて、幾つかの重要な情報をまとめました。

基本情報

業種:金融・証券先物取引業

銘柄コード:5838

上場区分:東証プライム

 

IPO日程

ご利用の証券会社によって、多少のズレが生じますので、ご注意ください。

IPO主要日程 横スクロールできます

ブックビルディング期間 2023年4月5日〜4月11日
ブックビルディング抽選日 2023年4月13日
購入申込期間 2023年4月14日〜4月18日
上場日 2023年4月21日

 

IPO情報

IPOに関する公募総数や公募価格(予定)をまとめます。

IPO情報 横スクロールできます

公募株式総数 59,506,800株
売出株式比率 90.7%
O.A分 4,463,000株
想定価格 1,795円
仮条件価格 1,300円(72%)〜1,400円(78%)
公募価格 1,400円(予定)
吸収金額 895.58億円(予定)
ロックアップ 180日間
主幹事 大和証券&三菱UFJモルガン・スタンレー証券

 

今後の展望や懸念事項

日本における社会のデジタルシフトはまだスタートしたばかりで、今後、日本社会のデジタルシフトは加速し、インターネットバンキングに対する個人、法人のお客さまのニーズは拡大すると期待されます。

社会のデジタルシフトを背景に「時間と場所を選ばずに銀行取引が可能なスマート
フォンアプリ等を活用したインターネットバンキング需要」が高まりましたが、以下のようなリスクも考えられます。

  • 新規参入者や競合他社との競争激化によるシェアの低下や顧客流出
  • サイバー攻撃によるシステム障害や情報漏洩
  • 金利上昇による収益圧迫や資金調達コストの増加
  • 規制当局からの監督強化や法令遵守コストの増加

 

これらのリスクに対処するためには、楽天銀行は、セキュリティ対策の強化やリスク管理体制の整備、サービスの差別化やイノベーション、コンプライアンス意識の向上などを行う必要があります。

楽天銀行は、オンライン銀行としての強みを活かし、かつリスクに備えつつ、今後のゼロキャッシュ社会に向けた動きの中で、決済情報等の独自データを活用し、お客さま毎にカスタマイズしたサービスを提供することで、日本No.1インターネット銀行の優位性をさらに強化していくことが重要となります。

独自評価及びスコア

これまでの投資経験を活かしたデータ分析で、独自評価及びスコアを付けています。

独自評価スコア:D6

※独自評価スコアはD4(低評価)〜S20(高評価)まで存在します。

独自の評価指標

過去6年間にIPO新規上場(IPO)した企業は、トータル591社でした。

それらの企業データから、以下の9の項目について、ホームページや目論見書(IPO時に発行される報告書)を調査して、上場前に初値上昇率や損失リスク度を分析しています。

  1. 業種(最近、情報通信業の初値上昇率は比較的高い傾向)
  2. 業績(売上高や利益率が健全に成長しているか)
  3. 上場市場(現在、東証プライムに上場する大型株は、初値が上昇しづらい傾向)
  4. 主幹事(IPOを管理する証券会社で多少の影響がある)
  5. 公開株数(少ない方がプラチナチケットになり易いが、当選しづらくなる)
  6. 売り出株式比率(新規発行分と既存分の比率で、低い方が上がり易い)
  7. ロックアップ(大株主が上場日から一定期間、売却できない期間のことで、長めの設定が良い)
  8. 株単価(安い方が、初値上昇率は高くなる傾向)
  9. 同日上場企業数(同日に複数社がIPOする場合は資産が分散して上がりづらい傾向)

これらの9項目の分析結果から、初値上昇があまり期待できそうにない企業については、予めBB申込を辞退して、マイナス=損失リスクを軽減しています。

初値上昇率の予想

過去6年間にIPO新規上場(IPO)した企業は591社で、評価スコア「D6」の企業は33社ありました。

それら企業における初値上昇率(=初値/公募価格)は以下の通りです。

過去データを基に算出した初値上昇率 横スクロールできます

平均値 103%(1.03倍)
最大値 165%(1.65倍)
最小値 79%(公募割れ)
中央値 101%(1.01倍)

過去6年間で公募割れした企業は14社あり、約42%の企業が初値で公募価格を下回ったことになります。

平均値とは、データの合計をデータの個数で割って得られる値=平均値に対して、中央値とは、データを大きさの順に並べ替えたとき、ちょうど順番が真ん中になる値です。平均値の場合は他の値と比べて極端に大きい(または小さい)値があることによって、影響を受けてしまいますが、中央値の場合は、真ん中の値ですので、そのような影響は受けづらいのが特徴です

 

管理人のBBスタンス

過去のデータを分析した独自評価スコアに応じて、管理人のブックビルディング(BB)のスタンスを決めています。

過去データの分析結果から、楽天銀行の初値は公募割れ(初値が公募価格を下回ること)のリスクが高いため、「べての所有口座にてBB辞退する予定」です。

なお、主幹事は大和証券と三菱UFJモルガン・スタンレー証券ですが、楽天証券やみずほ証券、野村證券、SMBC日興証券、松井証券、マネックス証券に対しても割り当てられている公開株数が多いので、比較的にBB当選しやすい銘柄となっています。

最後に

不安定な世界情勢や世界各国の利上げ、さらには米シリコンバレー銀行の破綻やクレディ・スイスの破綻など、株式にとってはマイナス要因が多い状況なので、日本国内のIPO新規上場企業への株式投資に対しても、今まで以上に慎重に検討する必要が出てきています。

今回の記事が、あなたの投資判断に有益になれば幸いです。

最後に、あくまで営利を伴わない個人的な自己分析なので、最終的な投資判断は自己責任でお願い致します。