IPO

【ノイルイミューン・バイオテック】新規上場企業データ分析

ノイルイミューン・バイオテック株式会社は、CAR-T細胞療法を主軸とするがん免疫療法の開発で、がん免疫療法分野において次世代を担うリーディングカンパニーを⽬指している企業です

東京証券取引所(東証)または地方証券取引所へ新規上場予定の企業について、独自の視点でデータ分析しています。

企業概要

会社名

ノイルイミューン・バイオテック株式会社

創立年

2015年4月16日

本社所在地

東京都港区芝大門二丁目12-10 T&G浜松町ビル 5F

事業内容

CAR-T細胞療法を主とした新規がん免疫療法の開発

 

事業説明

ノイルイミューン・バイオテック株式会社は、自社研究や大学や研究機関との共同研究、また国内外の企業との共同研究開発を通じて、がん免疫療法に関する技術及びパイプラインの開発を進めています。国内外の製薬企業に対して特定の標的分子に限定して医薬品の開発、製造、 販売の権利等をライセンスすることで、技術アクセス料、契約一時金、開発の進捗に応じたマイルストン収入、販売額に応じたロイヤリティ、販売経過年数や販売目標の達成に応じたマイルストン収入等を得ることができます。 また、自社が主導して開発を進行する「自社創薬」に加えて、PRIME技術を他社にライセンスして医薬品開発を進める「共同パイプライン」の2つの事業モデルを有するハイブリッドビジネスモデルを構築しています。これら事業展開により、共同パイプラインを通じてPRIME技術の市場への展開や周知を加速化して早期の収益確保を図ると同時に、長期的には自社創薬により大型の販売収益を確保することにより、事業経営におけるリスク分散とサステナブルな成長を目指しています。

 

 

財務状況

売上高、利益などの業績推移を目論見書からアップロードしました。

会社業績(IR BANKより) 横スクロールできます

年度 事業収益 営利 経常 純利 EPS ROE ROA 営利率
Dec-17 0.28億 -2.01億 -202百万 -6.23 赤字
Dec-18 15.6億 11.9億 872百万 25.3 31.35
Dec-19 5.21億 0.57億 55百万 1.6 2.36
Dec-20 0.97億 -604百万 -6.05億 -637百万 -17.73 赤字 赤字 -621.4
Dec-21 1.01億 -768百万 -7.93億 -795百万 -20.41 赤字 赤字 -761.93
Dec-22 6.26億 -106百万 -3.84億 -387百万 -9.77 赤字 赤字 -16.99

 

財務状況(IR BANKより) 横スクロールできます

年度 総資産 純資産 株主資本 自己資本比率 利益剰余金 BPS
Dec-17 11億 8.63億 78.4
Dec-18 27.8億 21.8億 78.2
Dec-19 23.4億 22.4億 95.3
Dec-20 26.7億 26億 25.9億 97 -0.78億 72.24
Dec-21 42.7億 41.9億 41.8億 97.9 -8.73億 107.3
Dec-22 46.4億 43億 42.9億 92.5 -12.6億 108.48

 

IPO情報

新規上場(IPO)に向けて、幾つかの重要な情報をまとめました。

基本情報

業種:医薬品

銘柄コード:4893

上場区分:東証グロース

 

IPO日程

ご利用の証券会社によって、多少のズレが生じますので、ご注意ください。

IPO主要日程 横スクロールできます

ブックビルディング期間 2023年6月13日〜6月16日
ブックビルディング抽選日 2023年6月19日
購入申込期間 2023年6月20日〜6月22日
上場日 2023年6月28日

 

IPO情報

IPOに関する公募総数や公募価格(予定)をまとめます。

IPO情報 横スクロールできます

公募株式総数 3,623,000株
売出株式比率 0.0%
O.A分 543,400株
想定価格 720円
仮条件価格 700円(97%)〜740円(103%)
公募価格 740円(予定)
吸収金額 30.83億円(予定)
ロックアップ 主に180日間
主幹事 SMBC日興証券

 

今後の展望や懸念事項

日本国内において、がんの死亡数と罹患数は、人口の高齢化を主な要因として男女ともに増加し続けており、2021年のがん死亡数は38万人以上、2019年のがん罹患数は99万人以上と報告されています。日本人が生涯でがんに罹患する確率は、2019年データにおいて、男性で65%、女性で51%とされており、また、各がん腫の5年生存率は、特にステー ジの進んだがんにおいて依然として低く、がんに対する効果的な治療法の開発や普及は極めて重要な社会的課題となっています。

従来、がんに対する治療法は外科療法、化学療法(抗がん剤)、放射線療法が主な方法でしたが、近年、免疫の力を利用してがんを攻撃する「がん免疫療法」が確立されてきました。従来のがん治療法では延命や根治することが難しかった進行がんに対しても免疫チェックポイント阻害薬がある程度の治療効果を発揮することがわかっており、その適応範囲は世界中で拡大しております。2021年の世界の医薬品市場において、がん領域治療薬の売上高トップ2はともに免疫チェックポイント阻害薬であり、その合計売上高は288億ドルと報告されています

体外に取り出したT細胞に、がん細胞表面のがん抗原を認識するCAR(Chimeric Antigen Receptor:キメラ抗 原受容体)遺伝子を導入することでCAR-T細胞を作製し、当該CAR-T細胞を大量に増やしてから「患者」に投与する「CAR-T 細胞療法」が高い注目を集めています。

独自評価及びスコア

これまでの投資経験を活かしたデータ分析で、独自評価及びスコアを付けています。

独自評価スコア:D5

※独自評価スコアはD4(低評価)〜S20(高評価)まで存在します。

独自の評価指標

2017年1月から2023年5月までの過去6.5年間にIPO新規上場(IPO)した企業は、トータル615社でした。

それらの企業データから、以下の9の項目について、ホームページや目論見書(IPO時に発行される報告書)を調査して、上場前に初値上昇率や損失リスク度を分析しています。

  1. 業種(最近、情報通信業の初値上昇率は比較的高い傾向)
  2. 業績(売上高や利益率が健全に成長しているか)
  3. 上場市場(現在、東証プライムに上場する大型株は、初値が上昇しづらい傾向)
  4. 主幹事(IPOを管理する証券会社で多少の影響がある)
  5. 公開株数(少ない方がプラチナチケットになり易いが、当選しづらくなる)
  6. 売り出株式比率(新規発行分と既存分の比率で、低い方が上がり易い)
  7. ロックアップ(大株主が上場日から一定期間、売却できない期間のことで、長めの設定が良い)
  8. 株単価(安い方が、初値上昇率は高くなる傾向)
  9. 同日上場企業数(同日に複数社がIPOする場合は資産が分散して上がりづらい傾向)

これらの9項目の分析結果から、初値上昇があまり期待できそうにない企業については、予めBB申込を辞退して、マイナス=損失リスクを軽減しています。

初値上昇率の予想

2017年1月から2023年5月までの過去6.5年間にIPO新規上場(IPO)した企業は615社で、評価スコア「D5」の企業は21社ありました。

それら企業における初値上昇率(=初値/公募価格)は以下の通りです。

過去データを基に算出した初値上昇率 横スクロールできます

平均値 99%(公募割れ)
最大値 126%(1.65倍)
最小値 75%(公募割れ)
中央値 96%(公募割れ)

過去6.5年間で公募割れした企業は14ありましたので、初値の公募割れリスクは67%です。

平均値とは、データの合計をデータの個数で割って得られる値=平均値に対して、中央値とは、データを大きさの順に並べ替えたとき、ちょうど順番が真ん中になる値です。平均値の場合は他の値と比べて極端に大きい(または小さい)値があることによって、影響を受けてしまいますが、中央値の場合は、真ん中の値ですので、そのような影響は受けづらいのが特徴です

 

管理人のBBスタンス

過去のデータを分析した独自評価スコアに応じて、管理人のブックビルディング(BB)のスタンスを決めています。

公募割れリスクが非常に高く、また同日に人気を集めそうな別のIPO上場と重なっており、初値上昇の期待は薄いので、「IPOチャレンジポイントを獲得するためにSBI証券のみ100株のBB申込予定」です。

公開株数も多いのでBB当選しやすい案件で、特に主幹事のSMBC日興証券が狙い目です。

最後に

不安定な世界情勢や世界各国の利上げ、さらには米シリコンバレー銀行の破綻やクレディ・スイスの破綻など、株式にとってはマイナス要因が多い状況なので、日本国内のIPO新規上場企業への株式投資に対しても、今まで以上に慎重に検討する必要が出てきています。

今回の記事が、あなたの投資判断に有益になれば幸いです。

最後に、あくまで営利を伴わない個人的な自己分析なので、最終的な投資判断は自己責任でお願い致します。