IPO

【ナレルグループ】新規上場企業データ分析

株式会社ナレルグループは、建設業向けの技術者派遣、IT業界向けの技術者派遣・ システムエンジニアリングサービスの提供を主な事業として取組んでいる企業です。

東京証券取引所(東証)または地方証券取引所へ新規上場予定の企業について、独自の視点でデータ分析しています。

企業概要

会社名

株式会社ナレルグループ

創立年

2019年5月27日

本社所在地

〒102-0084 東京都千代田区二番町3-5 麹町三葉ビル3階

事業内容

建設ソリューション事業
  • 建設・プラント業界向け技術者派遣
  • 建築関連作図
  • 建設ICTコンサルティング
  • 建設業界向け人材紹介
  • 建設業界向け人材マッチングプラットフォームの運営
ITソリューション事業
  • IT業界向け技術者派遣
  • SES(システムエンジニアリングサービス)

 

事業説明

株式会社ナレルグループは、日本に限らず先進国の多くで起きている、専門技術を持った「プロ人材」の不足を解決することで日本を「課題解決の先進国」に押し上げるという強い意思を込めて、建設業向けの技術者派遣及びIT業界向けの技術者派遣・ システムエンジニアリングサービスの提供を主な事業として取組んいます。

建設ソリューション事業

技術者アウトソーシング・建築関連作図事業

株式会社ワールドコーポレーションでは、本社を含め全国に6拠点を構え、建設・プラント業界向けに、施工管理業務、CADオペレーター等の技術者派遣を行うとともに、施工図作成の請負業務も行っており、主に建築、土木、空調衛生、電気設備の領域でサービスを提供しています。

人材プラットフォーム事業

株式会社コントラフトでは、建設業界における深刻な課題である「働き手不足」の解決のため、テクノロジーを活用した人材プラットフォーム事業を展開しています。
主には、「職人を探している企業」(求人企業)と「職人として働きたい方」(求職者)のマッチングプラットフォームである「ジョブケンワーク」の運営や、建設業務有料職業紹介事業許可を有する一般社団法人全国建設請負業協会から委託を受け、求職者情報の提供を行っています。

ITソリューション事業

エンジニア派遣・SES事業

株式会社ATJCでは、SIer等の開発案件・インフラ管理業務に対して、IT技術者等の人材派遣やSES(システムエンジニアリングサービス)契約による受託を行っています。主には、JavaやPythonなどのプログラミング言語を用いたWEBアプリケーション開発や、AWSなどのITインフラの構築・運用・保守等を行っており、業種や案件規模も関係なく、お客様のご要望に合わせて最適なIT人材を提案しています。

 

財務状況

売上高、利益などの業績推移を目論見書からアップロードしました。

会社業績(IR BANKより) 横スクロールできます

年度 営業収益 営利 経常 純利 当期包括利益 EPS ROE ROA 営利率 原価率 販管費率
Apr-20 0.4億 -346百万 -3.47億 -43.74 赤字
Oct-20 -0.81億 -10.15
Oct-21 121億 17.6億 10.4億 10.3億 126.46 12.09 5.42 14.5 72.58 15.75
Oct-22 145億 20.4億 12.4億 12.3億 150.58 12.51 6.17 14.03 70.91 15.3

 

財務状況(IR BANKより) 横スクロールできます

年度 総資産 純資産 株主資本 自己資本比率 利益剰余金 有利子負債 有利子負債比率 BPS
Apr-20 162億 76億 47
Oct-20 177億 72.4億 72.4億 40.87 -7億 82.7億 114.24 911.89
Oct-21 192億 86.3億 86.3億 44.9 3.31億 82.6億 95.69 1046.19
Oct-22 202億 99.3億 99.3億 49.3 15.6億 72.8億 73.27 1203.65

 

IPO情報

新規上場(IPO)に向けて、幾つかの重要な情報をまとめました。

基本情報

業種:サービス業

銘柄コード:9163

上場区分:東証グロース

 

IPO日程

ご利用の証券会社によって、多少のズレが生じますので、ご注意ください。

IPO主要日程 横スクロールできます

ブックビルディング期間 2023年7月5日〜7月11日
ブックビルディング抽選日 2023年7月12日
購入申込期間 2023年7月13日〜7月18日
上場日 2023年7月21日

 

IPO情報

IPOに関する公募総数や公募価格(予定)をまとめます。

IPO情報 横スクロールできます

公募株式総数 3,481,800株
売出株式比率 95.7%
O.A分 522,200株
想定価格 2,560円
仮条件価格 2,560円(100%)〜2,690円(105%)
公募価格 2,690円(予定)
吸収金額 107.71億円(予定)
ロックアップ 主に180日間または1.5倍
主幹事 大和証券

 

今後の展望や懸念事項

株式会社ナレルグループの主要顧客である建設業界においては、今後も建設市場は底堅い需要が見込まれており、2022年の建設業の有効求人倍率は5.51倍となりました。一方では、建設業における人手不足、高齢化が深刻化する中、2024年の時間外労働上限規制の適用開始等の法規制強化もあり、技術者の安定確保が喫緊の課題となっています。このような環境下において、今後も技術者人材の需要は高い状況が続くことが見込まれます

そのような状況下において、株式会社ナレルグループは以下の3つを成長戦略として取り組んで行っています。

派遣事業の更なる拡大

自社メディアによる経験者採用を強化するとともに、強みである未経験者採用ノウハウと人材育成メソッドを活用して、新規業界及び新規職種における派遣事業を拡大していく。

人材紹介サービスへの展開

一部の認定団体のみが実施可能な建設業の “職人” の有料紹介事業を行える強みを活かし、職人の人材紹介ビジネスも展開していく。

建設ICTコンサルティングへの展開

生産性向上の観点から、建設ICTの導入需要が高まる中で、ICT専門部隊の確立に取組んでいく。

独自評価及びスコア

これまでの投資経験を活かしたデータ分析で、独自評価及びスコアを付けています。

独自評価スコア:D6

※独自評価スコアはD4(低評価)〜S20(高評価)まで存在します。

独自の評価指標

2017年1月から2023年5月までの過去6.5年間にIPO新規上場(IPO)した企業は、トータル615社でした。

それらの企業データから、以下の9の項目について、ホームページや目論見書(IPO時に発行される報告書)を調査して、上場前に初値上昇率や損失リスク度を分析しています。

  1. 業種(最近、情報通信業の初値上昇率は比較的高い傾向)
  2. 業績(売上高や利益率が健全に成長しているか)
  3. 上場市場(現在、東証プライムに上場する大型株は、初値が上昇しづらい傾向)
  4. 主幹事(IPOを管理する証券会社で多少の影響がある)
  5. 公開株数(少ない方がプラチナチケットになり易いが、当選しづらくなる)
  6. 売り出株式比率(新規発行分と既存分の比率で、低い方が上がり易い)
  7. ロックアップ(大株主が上場日から一定期間、売却できない期間のことで、長めの設定が良い)
  8. 株単価(安い方が、初値上昇率は高くなる傾向)
  9. 同日上場企業数(同日に複数社がIPOする場合は資産が分散して上がりづらい傾向)

これらの9項目の分析結果から、初値上昇があまり期待できそうにない企業については、予めBB申込を辞退して、マイナス=損失リスクを軽減しています。

初値上昇率の予想

2017年1月から2023年5月までの過去6.5年間にIPO新規上場(IPO)した企業は615社で、評価スコア「D6」の企業は37社ありました。

それら企業における初値上昇率(=初値/公募価格)は以下の通りです。

過去データを基に算出した初値上昇率 横スクロールできます

平均値 103%(1.03倍)
最大値 165%(1.65倍)
最小値 79%(公募割れ)
中央値 101%(1.01倍)

過去6.5年間で公募割れした企業は14ありましたので、初値の公募割れリスクは38%です。

平均値とは、データの合計をデータの個数で割って得られる値=平均値に対して、中央値とは、データを大きさの順に並べ替えたとき、ちょうど順番が真ん中になる値です。平均値の場合は他の値と比べて極端に大きい(または小さい)値があることによって、影響を受けてしまいますが、中央値の場合は、真ん中の値ですので、そのような影響は受けづらいのが特徴です

 

管理人のBBスタンス

過去のデータを分析した独自評価スコアに応じて、管理人のブックビルディング(BB)のスタンスを決めています。

公募割れリスクが高めで、また同日に人気を集めそうな別のIPO上場と重なっており、初値上昇の期待は薄いので、「IPOチャレンジポイントを獲得するためにSBI証券のみ100株のBB申込予定」です。

公開株数が多めなので当選しやすい案件ですが、特に主幹事の大和証券が狙い目です。

最後に

不安定な世界情勢や世界各国の利上げ、さらには米シリコンバレー銀行の破綻やクレディ・スイスの破綻など、株式にとってはマイナス要因が多い状況なので、日本国内のIPO新規上場企業への株式投資に対しても、今まで以上に慎重に検討する必要が出てきています。

今回の記事が、あなたの投資判断に有益になれば幸いです。

最後に、あくまで営利を伴わない個人的な自己分析なので、最終的な投資判断は自己責任でお願い致します。