IPO

【南海化学】新規上場企業データ分析

東京証券取引所(東証)または地方証券取引所へ新規上場予定の企業について、独自の視点でデータ分析しています。

企業概要

会社名

南海化学株式会社

創立年

1906年

本社所在地

〒550-0015 大阪市西区南堀江1丁目12番19号 四ツ橋スタービル

事業内容

  • 化学工業薬品、医薬品、農薬、化粧品、医薬部外品および食品添加物の製造、販売に関する事業
  • 化学工業薬品、医薬品、農薬、化粧品、医薬部外品、食品および食品添加物の製品開発ならびに分析に関する受託事業
  • 産業廃棄物の収集、運搬および中間処理に関する事業
  • 塩の製造、加工、販売に関する事業
  • 貴金属、非鉄金属およびその他地金並びにその塩類の販売及び回収に関する事業
  • 空調設備の販売および施工に関する事業
  • 精密機械器具、繊維機械、メッキ設備、塗料設備および建築材料の販売に関する事業
  • 前1~7号に関連する技術、並びに製品の輸出入
  • 前1~4号に関する設備装置のエンジニアリング及び管理メンテナンス事業
  • 駐車場の経営、不動産の管理並びに倉庫業に関する事業
  • 経理業務並びに総務、人事業務の受託・代行処理に関する事業
  • 貨物運送取扱事業
  • 検量に関する事業
  • 農畜水産物に関する研究開発および生産、加工、販売等に関する事業
  • 発電事業およびその管理・運営ならびに電気の供給、販売等に関する事業
  • 損害保険代理に関する事業
  • 前各号に附帯しまたは関連する一切の事業

     

事業説明

南海化学社は主に「化学品事業」と 「各種塩事業」の2つの事業セグメントを展開しており、売上高の約80%は化学品事業が占めています。

化学品事業

化学品事業は以下の4つのカテゴリーに分類されています。

基礎化学品

塩水の電気分解により生成される苛性ソーダを中心に、塩素や水素を活用した各種製品の製造及び販売を行っています。水資源関連・医療・食品等の分野で漂白や殺菌、中和用に利用されるクロール・アルカリ製品、浄化槽やプール水、食品工場等の衛生管理に利用される塩素系殺菌・消毒剤、工場排水・下水排水などに利用される水処理凝集剤などを原料メーカーや中間製品メーカーといった製造業を中心に提供しています。

機能化学品

各種食品の日持ち向上剤として使用される酢酸ナトリウムなどの食品添加物やグルコサミンなどの健康食品の製造・販売と、お客様のニーズに合わせたきめ細やかなオーダーメイド対応が可能な医薬・農薬・電子材料等の中間体の製造・販売及び スルホン化やクロル化技術を活用した受託製造業務を行っています。

アグリ

農薬の一種である土壌殺菌剤として使用されているクロルピクリンの製造・販売を行っています。 クロルピクリンは、畑地をクリーンにする農薬のひとつとして、農作物の広い分野で長年にわたり使用されています。

環境リサイクル

石油精製業者などの廃硫酸供給業者より廃硫酸を引取り、硫酸を精製し各種メーカーへ販売しています。

各種塩事業

オーストラリアやメキシコから輸入した原塩(天日塩)を、洗滌(せんでき)などの加工工程を経て、食品関係や融雪など様々な用途に用いられる塩を製造し、国内有数の梅干しの原産地である和歌山県南部地区の梅干加工業者や全国の食品メーカーをはじめとした各種メーカー、融雪塩として道路を維持管理する団体などに販売しています。

以上のように南海化学社は、様々な製品の基礎原料として使われる苛性ソーダや殺菌、消毒に使われる次亜塩素酸ソーダをはじめとする「基礎化学品事業」、酢酸ナトリウム、グルコサミンをはじめとする「機能化学品事業」、土壌殺菌剤として使われる農薬クロルピクリンをはじめとする「アグリ事業」、廃硫酸のリサイクルを中心とする「環境リサイクル事業」、及び塩の加工・販売に関する「各種塩事業」 の5事業を運営しています。

財務状況

売上高、利益などの業績推移を目論見書からアップロードしました。

会社業績(IR BANKより) 横スクロールできます

年度 売上 営利 経常 純利 包括 EPS ROE ROA 営利率 原価率 販管費率
Mar-18 139億 123百万 125百万 53.64 0.75
Mar-19 146億 144百万 -576百万 -247.18 赤字
Mar-20 142億 280百万 64百万 27.46
Mar-21 165億 730百万 708百万 155百万 146百万 66.51 3.88 0.96 4.43 76.5 19.06
Mar-22 174億 739百万 716百万 462百万 649百万 198.26 9.99 2.72 4.24 76.32 19.43

 

財務状況(IR BANKより) 横スクロールできます

年度 総資産 純資産 株主資本 自己資本比率 利益剰余金 有利子負債 有利子負債比率 BPS
Mar-18 167億 33.5億 20.1
Mar-19 168億 27.1億 16.2
Mar-20 32.3億
Mar-21 161億 40.4億 39.9億 24.8 57.3億 82.3億 206.04 1713.49
Mar-22 170億 46.8億 44.3億 27.2 61.7億 74億 159.99 1984.27

 

IPO情報

新規上場(IPO)に向けて、幾つかの重要な情報をまとめました。

基本情報

業種:化学

銘柄コード:4040

上場区分:東証スタンダード

 

IPO日程

ご利用の証券会社によって、多少のズレが生じますので、ご注意ください。

IPO主要日程 横スクロールできます

ブックビルディング期間 2023年4月5日〜4月11日
ブックビルディング抽選日 2023年4月12日
購入申込期間 2023年4月13日〜4月17日
上場日 2023年4月20日

 

IPO情報

IPOに関する公募総数や公募価格(予定)をまとめます。

IPO情報 横スクロールできます

公募株式総数 626,300株
売出株式比率 4.2%
O.A分 93,900株
想定価格 1,660円
仮条件価格 1,660円(100%)〜1,740円(105%)
公募価格 1,740円(予定)
吸収金額 12.53億円(予定)
ロックアップ 180日間
主幹事 SMBC日興証券

 

今後の展望や懸念事項

南海化学社は、総合化学メーカーとして苛性ソーダ、次亜塩素酸ソーダ、水処理剤など各種無機化学工製品を取扱う基礎化学品事業、酢酸ナトリウム、グルコサミン、染料及び電子材料製品など有機化学工業製品を取扱う機能化学品事業、農薬を取扱うアグリ事業及び廃硫酸のリサイクルなどを取扱う環境リサイクル事業、塩製品を取扱う各種塩事業を営んでおり、古くからの関西地区をターゲットとした地域密着型の事業展開によって一定の存在感を確立しています。

一方で、米中の貿易摩擦やロシアのウクライナ侵攻がもたらした国際情勢の極端な緊張と世界経済分断化リスクの増大や、新型コロナウイルス感染症の拡大による生活様式・国内製造業の変化に伴い、原材料価格や用益費の急激な増加などの対応が急務となっています。

また、南海化学社の製造拠点は主に和歌山県及び高知県に立地しており、南海トラフを震源とする地震災害の影響を受ける可能性があり、また台風による風水害の影響を受けやすいことからBCP対策を強化し、そのリスクを最小化することが必須です

更には、有害物質による土壌汚染・大気汚染・水質汚濁・産業廃棄物処理等各種の環境規制も厳しくなる状況下において、対策や対応の強化が求められます。

独自評価及びスコア

これまでの投資経験を活かしたデータ分析で、独自評価及びスコアを付けています。

独自評価スコア:D8

※独自評価スコアはD4(低評価)〜S20(高評価)まで存在します。

独自の評価指標

過去6年間にIPO新規上場(IPO)した企業は、トータル591社でした。

それらの企業データから、以下の9の項目について、ホームページや目論見書(IPO時に発行される報告書)を調査して、上場前に初値上昇率や損失リスク度を分析しています。

  1. 業種(最近、情報通信業の初値上昇率は比較的高い傾向)
  2. 業績(売上高や利益率が健全に成長しているか)
  3. 上場市場(現在、東証プライムに上場する大型株は、初値が上昇しづらい傾向)
  4. 主幹事(IPOを管理する証券会社で多少の影響がある)
  5. 公開株数(少ない方がプラチナチケットになり易いが、当選しづらくなる)
  6. 売り出株式比率(新規発行分と既存分の比率で、低い方が上がり易い)
  7. ロックアップ(大株主が上場日から一定期間、売却できない期間のことで、長めの設定が良い)
  8. 株単価(安い方が、初値上昇率は高くなる傾向)
  9. 同日上場企業数(同日に複数社がIPOする場合は資産が分散して上がりづらい傾向)

これらの9項目の分析結果から、初値上昇があまり期待できそうにない企業については、予めBB申込を辞退して、マイナス=損失リスクを軽減しています。

初値上昇率の予想

過去6年間にIPO新規上場(IPO)した企業は591社で、評価スコア「D8」の企業は32社ありました。

それら企業における初値上昇率(=初値/公募価格)は以下の通りです。

過去データを基に算出した初値上昇率 横スクロールできます

平均値 110%(1.10倍)
最大値 198%(1.98倍)
最小値 63%(公募割れ)
中央値 103%(1.03倍)

過去6年間で公募割れした企業は13社あり、約41%の企業が初値で公募価格を下回ったことになります。

平均値とは、データの合計をデータの個数で割って得られる値=平均値に対して、中央値とは、データを大きさの順に並べ替えたとき、ちょうど順番が真ん中になる値です。平均値の場合は他の値と比べて極端に大きい(または小さい)値があることによって、影響を受けてしまいますが、中央値の場合は、真ん中の値ですので、そのような影響は受けづらいのが特徴です

 

管理人のBBスタンス

過去のデータを分析した独自評価スコアに応じて、管理人のブックビルディング(BB)のスタンスを決めています。

南海化学社の初値は公募割れ(初値が公募価格を下回ること)のリスクがありますので、「SBI証券口座のみIPOチャレンジポイントを獲得するために100株分のみBB申込、その他のすべての所有口座はBB辞退する予定」です。

主幹事のSMBC日興証券に公募株式総数の約9割が割り当てられていますので、ブックビルディングの当選を狙う方はSMBC日興証券が狙い目です。

最後に

不安定な世界情勢や世界各国の利上げ、さらには米シリコンバレー銀行の破綻やクレディ・スイスの破綻など、株式にとってはマイナス要因が多い状況なので、日本国内のIPO新規上場企業への株式投資に対しても、今まで以上に慎重に検討する必要が出てきています。

今回の記事が、あなたの投資判断に有益になれば幸いです。

最後に、あくまで営利を伴わない個人的な自己分析なので、最終的な投資判断は自己責任でお願い致します。