株式会社グリッドは、主に電力、物流、サプライチェーンといった社会インフラ業界に対して、AI(人工知能)を用いたシステムの開発・販売・コンサルティング・保守・運用サポート業務を展開する企業です。
東京証券取引所(東証)または地方証券取引所へ新規上場予定の企業について、独自の視点でデータ分析しています。
企業概要
会社名
創立年
2009年10月
本社所在地
〒107-0061 東京都港区北⻘山3-11-7 Aoビル6F
事業内容
- 人工知能を用いたシステムの開発・販売・コンサルティング・保守・運用サポート業務
- アプリケーションおよびコンピュータシステムの開発・販売・コンサルティング・保守・運用サポート業務
- 都市インフラソリューションのシステム開発・製造・販売・コンサルティング・保守・運用サポート業務
- インターネットを使ったアプリケーションサービスプロバイダー業務
- 設備および業務の管理・コンサルティング業務
事業説明
電力、物流、サプライチェーンといった社会インフラは、ビジネス上の様々な要素を考慮した上で計画的に管理運営されておりますが、そのための計画業務は熟練の人材による多大な労力と時間をかけて遂行されており、現在の複雑かつ不確実性の高い環境下で迅速に最適解を選択することは困難な状況となっております。 そのような状況下、株式会社グリッドは属人性を排し、インフラのオペレーションに関わる様々な制約を変数として、AI技術を用いて短時間で最適な計画を提供する計画最適化事業を展開しています。また、最適化技術を通じて顧客の業務課題を解決するだけではなく、化石燃料の削減等によりカーボンニュートラルの実現に向けて貢献することも目指しています。
自社デジタルツインテクノロジーにより、各顧客の計画対象業務を数式化することでデジタル空間上にビジネス環境や業務環境を再現しており、ビッグデータを使用せずに顧客業務のシミュレーション結果を生み出すことを可能としています。その結果から得られるデジタルデータを基に、強化学習、数理最適化等を組み合わせたAIアルゴリ ズムが、顧客の業務課題を解決する最適解を提供しています。
現在、株式会社グリッドが注力している分野は、電力・エネルギー、物流・サプライチェーン、都市交通・スマートシティの3分野です。 3分野における計画最適化は化石燃料の削減に直結するため、現在、最も重要な社会課題であるカーボンニュートラルの実現にも貢献することができると考えられています。

AIによる計画最適化は、化石燃料削減やオペレーションコスト削減といった直接的なコスト削減効果をもたらすことが可能です。顧客は利害関係者にAIに対する投資対効果を明確に説明することができ、新しいテクノロジーの価値に見合った規模の投資が可能になります。このようにAI導入効果をROIとして明確に数値化できることは、受注確度を高める効果があり、収益性の基盤となっております。
財務状況
売上高、利益などの業績推移を目論見書からアップロードしました。

会社業績(IR BANKより) 横スクロールできます
年度 | 売上 | 営利 | 経常 | 純利 | EPS | ROE | ROA | 営利率 | 原価率 | 販管費率 |
Jun-18 | 17.2億 | – | 149百万 | 105百万 | 33.02 | – | 11.58 | – | – | – |
Jun-19 | 13.5億 | – | -45百万 | -50百万 | -15.61 | – | 赤字 | – | – | – |
Jun-20 | 6.93億 | – | -627百万 | -677百万 | -212.45 | – | 赤字 | – | – | – |
Jun-21 | 7.07億 | -222百万 | -199百万 | -211百万 | -66.15 | 赤字 | 赤字 | -31.46 | 35.08 | 96.38 |
Jun-22 | 9.1億 | 71百万 | 68百万 | 92百万 | 28.87 | 9.82 | 7.06 | 7.81 | 27.43 | 64.76 |
財務状況(IR BANKより) 横スクロールできます
年度 | 総資産 | 純資産 | 株主資本 | 自己資本比率 | 利益剰余金 | 有利子負債 | 有利子負債比率 | BPS |
Jun-18 | 9.09億 | 3.97億 | – | 43.7 | – | – | – | – |
Jun-19 | 10.7億 | 3.21億 | – | 30 | – | – | – | – |
Jun-20 | 13.3億 | 10.6億 | – | 79.6 | – | – | – | – |
Jun-21 | 12億 | 8.46億 | 844百万 | 70.4 | -650百万 | 200百万 | 23.69 | 264.99 |
Jun-22 | 13億 | 9.38億 | 936百万 | 71.9 | -558百万 | 195百万 | 20.79 | 293.86 |
IPO情報
新規上場(IPO)に向けて、幾つかの重要な情報をまとめました。
基本情報
業種:情報通信業
銘柄コード:5582
上場区分:東証グロース
IPO日程
ご利用の証券会社によって、多少のズレが生じますので、ご注意ください。
IPO主要日程 横スクロールできます
ブックビルディング期間 | 2023年6月21日〜6月27日 |
ブックビルディング抽選日 | 2023年6月28日 |
購入申込期間 | 2023年6月29日〜7月3日 |
上場日 | 2023年7月7日 |
IPO情報
IPOに関する公募総数や公募価格(予定)をまとめます。
IPO情報 横スクロールできます
公募株式総数 | 1,148,000株 |
売出株式比率 | 23.7% |
O.A分 | 172,200株 |
想定価格 | 1,790円 |
仮条件価格 | 2,000円(112%)〜2,140円(120%) |
公募価格 | 2,140円(予定) |
吸収金額 | 28.25億円(予定) |
ロックアップ | 主に90日間 |
主幹事 | 野村證券 |
今後の展望や懸念事項
国内のAIビジネス市場は、内製化に向けた潮流が一層強まっていくことが予測され、特にAI 基盤(プラットフォーム市場)が大きく伸長していくものと見られています。株式会社グリッドが関連する国内AIビジネスの市場規模は、2027年までに1.1兆円を超えると予測されています(出典:富士 キメラ総研「2022人工知能ビジネス総調査」)。

AIエンジンの開発(AI開発)、AIエンジンを搭載した業務システムの顧客への導入(プラットフォーム開発)、運用・サポートまで一貫して提供することで顧客生涯価値の最大化を図るビジネスモデルを展開しています。 当該ビジネスモデルにおけるAI開発及びプラットフォーム開発を「フロー型売上」、 運用・サポートを「ストック型売上」と位置付けており、新規顧客獲得や既存顧客へのアップセル・クロスセルを展開してフロー型売上を拡大させることで、その後のストック型売上の拡大を図り、安定した成長と収益を確保することを目指しています。
また、データサイエンティストやITエンジニアではなく、重電や、社会インフラ業界出身で現場オペレーションに造詣が深いエンジニアを積極的に採用し、入社後にデータサイエンス教育を施すことで社会インフラの業務知識を兼ね備えたAI技術者を育成しており、より実用的かつ効果的な計画最適化のアルゴリズムの提供を実現しています。
顧客は、電力会社や海運会社等の売上規模が大きい企業が多く、様々な組織において多様な種類の計画業務を有しているため、既存顧客へのアップセル・クロスセルによりフロー型売上を増大させ、戦略的に顧客生涯価値を最大化していくことが成長にとって重要となります。
これまで国内を中心に事業を展開して来ましたが、社会インフラの業務オペレーションの多くは世界共通であり、インダストリークラウドを強みとして、今後は海外における事業展開も検討しています。海外展開にあたっては、為替変動、進出国の経済動向、政情不安、法規制の変更等多岐にわたるリスクが存在しますが、これらのリスクを最小限にすべく十分な対策を講じた上で事業展開を進めていく方針です。
量子コンピュータは次世代のコンピュータとして期待されており、自社が行なっている計画最適化分野においても量子コンピュータは広く活用が期待されている分野であり、計算の高速化や、コンピュータ上に再現できる状態の規模や精度においても現在のコンピュータを上回る可能性が示唆されており、株式会社グリッドにおいても量子アルゴリズムについて2017年より研究開発を行っています。
独自評価及びスコア
これまでの投資経験を活かしたデータ分析で、独自評価及びスコアを付けています。
独自評価スコア:B13
※独自評価スコアはD4(低評価)〜S20(高評価)まで存在します。
独自の評価指標
2017年1月から2023年5月までの過去6.5年間にIPO新規上場(IPO)した企業は、トータル615社でした。
それらの企業データから、以下の9つの項目について、ホームページや目論見書(IPO時に発行される報告書)を調査して、上場前に初値上昇率や損失リスク度を分析しています。
- 業種(最近、情報通信業の初値上昇率は比較的高い傾向)
- 業績(売上高や利益率が健全に成長しているか)
- 上場市場(現在、東証プライムに上場する大型株は、初値が上昇しづらい傾向)
- 主幹事(IPOを管理する証券会社で多少の影響がある)
- 公開株数(少ない方がプラチナチケットになり易いが、当選しづらくなる)
- 売り出株式比率(新規発行分と既存分の比率で、低い方が上がり易い)
- ロックアップ(大株主が上場日から一定期間、売却できない期間のことで、長めの設定が良い)
- 株単価(安い方が、初値上昇率は高くなる傾向)
- 同日上場企業数(同日に複数社がIPOする場合は資産が分散して上がりづらい傾向)
これらの9項目の分析結果から、初値上昇があまり期待できそうにない企業については、予めBB申込を辞退して、マイナス=損失リスクを軽減しています。
初値上昇率の予想
2017年1月から2023年5月までの過去6.5年間にIPO新規上場(IPO)した企業は615社で、評価スコア「B13」の企業は43社ありました。
それら企業における初値上昇率(=初値/公募価格)は以下の通りです。
過去データを基に算出した初値上昇率 横スクロールできます
平均値 | 229%(2.29倍) |
最大値 | 596%(5.96倍) |
最小値 | 107%(1.07倍) |
中央値 | 211%(2.11倍) |
過去6.5年間で公募割れした企業はありませんでした。
平均値とは、データの合計をデータの個数で割って得られる値=平均値に対して、中央値とは、データを大きさの順に並べ替えたとき、ちょうど順番が真ん中になる値です。平均値の場合は他の値と比べて極端に大きい(または小さい)値があることによって、影響を受けてしまいますが、中央値の場合は、真ん中の値ですので、そのような影響は受けづらいのが特徴です。
管理人のBBスタンス
過去のデータを分析した独自評価スコアに応じて、管理人のブックビルディング(BB)のスタンスを決めています。
大幅な初値上昇が期待できそうなので、「すべての所有口座からBB申込予定」です。
主幹事の野村證券が狙い目です。
最後に
不安定な世界情勢や世界各国の利上げ、さらには米シリコンバレー銀行の破綻やクレディ・スイスの破綻など、株式にとってはマイナス要因が多い状況なので、日本国内のIPO新規上場企業への株式投資に対しても、今まで以上に慎重に検討する必要が出てきています。
今回の記事が、あなたの投資判断に有益になれば幸いです。
最後に、あくまで営利を伴わない個人的な自己分析なので、最終的な投資判断は自己責任でお願い致します。