東京証券取引所(東証)または地方証券取引所へ新規上場予定の企業について、独自の視点でデータ分析しています。
企業概要
会社名
創立年
2018年7月
本社所在地
東京都港区南麻布3丁目20-1 Daiwa麻布テラス4F
事業内容
- プラットフォーム事業
- ブロードバンド事業
- SaaS・DX事業
事業説明
エキサイトホールディング社はエキサイト株式会社とiXIT株式会社の連結子会社2社によって構成されており、主に「プラットフォーム事業」「ブロードバンド事業」「SaaS・DX事業」の3つの事業を運営しています。

プラットフォーム事業
プラットフォーム事業として、「エキサイト電話占い」や「エキサイトお悩み相談室」等のカウンセリングサービスの運営、「ウーマンエキサイト」や「エキサイトニュース」等のユーザーに有用な情報を提供しているメディアサ ービスの運営、子供向けの粉末サプリ飲料「セノバス+」とマウスピース歯科矯正サービス「EMININAL」を提供するD2Cサービスの運営
カウンセリングサービス
「エキサイトお悩み相談室」や「エキサイト電話占い」などの非対面型のカウンセリングサービスを提供。ユーザーと占い師・カウンセラーの双方に電話番号が知られることのないシステムで高い秘匿性を保ちながら、24時間365日利用可能なサービス。
メディアサービス
「ウーマンエキサイト」や「エキサイトニュース」等のユーザーに有用な情報を提供するメディアサービスの運営
D2Cサービス
「ウーマンエキサイト」等のメディアサービスの主力ユーザーである20代から40代の女性を主要ターゲットとしたヘルスケア関連の商材・サービスの企画・製造・販売を行っており、子供向けの粉末サプリ飲料「セノバス+」とマウスピース歯科矯正サービス「EMININAL」を提供
ブロードバンド事業
主に個人向けISPサービス「BBエキサイト」やMVNOサービス「エキサイトモバイル」等のブロードバンドサービスの提供
ISPサービス
「BBエキサイト」等のISPサービスは、従量制である「BB.excite光 Fit」や定額制である「エキサイト 光」、高速プランである「BB.excite光 10G」など様々なユーザーニーズに応える多種多様なプランを提供。さらに、定額の動画サービス等の様々なサービスをオプションとして提供することでユーザーの利便性向上を図る
MVNOサービス
「エキサイトモバイル」等のMVNOサービスは、業界最安水準の価格を実現し、従量制である「Fit」、定額制である「Flat」プランの提供や端末とのセット販売、複数のSIMを同時に契約しデータ通信量を共有することができるサービス等ユーザーニーズに適したサービス提供
SaaS・DX事業
SaaS事業
クラウド経営管理ソフト「KUROTEN.」は、会計データとの一元管理により、過去実績に基づく未来予測シミュレー ションの精度を高めることが可能なサービスであり、上場を目指すベンチャー企業から中堅企業までを主な顧客層として受注拡大に努めています。更には、ウェビナー施策に関わる全てのタスクを一元管理できるウェビナーPDCAクラウド「FanGrowth」をリリース。
DX事業
2020年8月にiXIT株式会社を子会社化し、企業における事業課題の解決や活性化を目的とした事業戦略から運用改善までをシステム開発・運用を通じて提供するDX事業に参開始。
財務状況
売上高、利益などの業績推移を目論見書からアップロードしました。

会社業績(IR BANKより) 横スクロールできます
年度 | 売上 | 営利 | 経常 | 純利 | 包括 | EPS | ROE | ROA | 営利率 | 原価率 | 販管費率 |
Mar-19 | – | – | -186百万 | -187百万 | – | -3.47 | – | 赤字 | – | – | – |
Mar-20 | 0.1億 | – | -90百万 | -91百万 | – | -23.43 | – | – | – | – | – |
Mar-21 | 68.3億 | 446百万 | 425百万 | 488百万 | 745百万 | 125.14 | 38.59 | 11.89 | 6.54 | 54.54 | 38.93 |
Mar-22 | 71.3億 | 398百万 | 408百万 | 347百万 | 245百万 | 89.04 | 23 | 8.18 | 5.58 | 54.49 | 39.93 |
財務状況(IR BANKより) 横スクロールできます
年度 | 総資産 | 純資産 | 株主資本 | 自己資本比率 | 利益剰余金 | 有利子負債 | 有利子負債比率 | BPS |
Mar-19 | 58.2億 | 16.4億 | – | 28.2 | – | – | – | – |
Mar-20 | – | 5.19億 | – | – | – | – | – | – |
Mar-21 | 41億 | 12.7億 | 12.7億 | 30.8 | 9.1百万 | 17.1億 | 135.34 | 324.27 |
Mar-22 | 42.4億 | 15.1億 | 16.2億 | 35.6 | 629百万 | 15.2億 | 100.75 | 387.18 |
IPO情報
新規上場(IPO)に向けて、幾つかの重要な情報をまとめました。
基本情報
業種:情報通信業
銘柄コード:5571
上場区分:東証スタンダード
IPO日程
ご利用の証券会社によって、多少のズレが生じますので、ご注意ください。
IPO主要日程 横スクロールできます
ブックビルディング期間 | 2023年4月3日〜4月7日 |
ブックビルディング抽選日 | 2023年4月10日 |
購入申込期間 | 2023年4月11日〜4月13日 |
上場日 | 2023年4月19日 |
IPO情報
IPOに関する公募総数や公募価格(予定)をまとめます。
IPO情報 横スクロールできます
公募株式総数 | 900,000株 |
売出株式比率 | 0.0% |
O.A分 | 135,000株 |
想定価格 | 1,340円 |
仮条件価格 | 1,220円(91%)〜1,340円(100%) |
公募価格 | 1,340円(予定) |
吸収金額 | 13.87億円(予定) |
ロックアップ | 180日間 |
主幹事 | みずほ証券&大和証券 |
今後の展望や懸念事項
現在、働き方改革により副業や兼業が促進され、個人のスキルを共有するスキルシェアリングサービスの市場規模は、2022年度の2,579億円から2030年度には最大2兆6,637億円まで拡大するものと予測されています。
また、近年は経済・産業構造の変化や新型コロナウィルス感染症の影響により生活様式が変化する中で、仕事や職業生活に関する強い不安や悩み、ストレスを感じている労働者の割合が高くなっており、厚生労働省「精神疾患を有する総患者数の推移」によると、特にうつ病や不安障害などの精神疾患が急激に増加しています。
この傾向に対して政府も労働者・企業に対してメンタルヘルスケアを推進しており、心理カウンセリングやメンタルヘルス市場の重要性は今後さらに高まるものと予想されることから、気軽に相談できるオンラインカウンセリング市場の成長は促進されると予想されます。
2020年から続く新型コロナウィルス感染症の感染拡大に伴う緊急事態宣言・まん延防止重点措置などにより、消費の低迷と広告出稿は減少していますが、社会のデジタル化が後押しする形で特にインターネット市場規模の拡大が続いています。新型コロナウイルス感染症の影響でテレワークやWeb会議などが普及する中、自宅やオフィスでのブロードバンド回線の需要が大幅に増加し、近年情報サービス通信事業は、人手不足や働き方改革の影響からデジタルトランスフォーメーションによる業務効率化を推進する企業が増加する等、リモートワーク環境の広がりからSaaSサービスのニーズは一層高まり、2020年度のDXの国内市場規模は1兆3,821億円であり、2030年度には3.8倍の5兆1,957億円と予測されています。(富士キメ ラ総研「2022 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望 市場編/ベンダー戦略編)
今後のリスクとしては、インターネット通信環境の悪化、スマートデバイスの普及の著しい鈍化、不正使用等の弊害の発生、新たな法的規制の導入等が、メディアサービスを主軸とするエキサイトホールディングス社にとっては、業績や今後の事業展開に影響を与えるリスクとして挙げられます。また、優秀なIT人材不足や情報セキュリティの脆弱性、不正利用に対する対処などのリスクも考えられます。
エキサイト株式会社は設立後、ブロードバンド利用者数の増加やインターネット広告市場の成長を背景に、主力事業である インターネット広告事業の売上高を順調に伸ばし、2013年7月から東京証券取引所のJASDAQ市場に株式を上場していました。 しかしながら、近年はインターネット市場におけるポータルサイトの集約により、2007年にはアクセス数の国内上位 20サイト中8サイトを占めていたポータルサイトが2016年には4サイトまで減少したことに加えて、YouTube、Facebook、Twitterといった新たなジャンル、コンテンツの台頭によりインターネット市場におけるサービス形態の多様化や競争の激化が進んだため、インターネット広告事業等の広告・課金事業の収益は悪化していき、2018年11月に東証JASDAQスタンダード市場から上場を廃止しました。
上場廃止後は、2020年10月にグループ経営の効率化を図ることを目的として、エキサイトホールディングス株式会社にに商号変更し、既存事業としてプラットフォーム事業(カウンセリングサービスやメディアサービス)およびブロードバンド事業、新規事業としてSaaS・DX事業を立ち上げ、今年2023年4月の東証スタンダードへの再上場を予定しています。
独自評価及びスコア
これまでの投資経験を活かしたデータ分析で、独自評価及びスコアを付けています。
独自評価スコア:C10
※独自評価スコアはD4(低評価)〜S20(高評価)まで存在します。
独自の評価指標
過去6年間にIPO新規上場(IPO)した企業は、トータル591社でした。
それらの企業データから、以下の9つの項目について、ホームページや目論見書(IPO時に発行される報告書)を調査して、上場前に初値上昇率や損失リスク度を分析しています。
- 業種(最近、情報通信業の初値上昇率は比較的高い傾向)
- 業績(売上高や利益率が健全に成長しているか)
- 上場市場(現在、東証プライムに上場する大型株は、初値が上昇しづらい傾向)
- 主幹事(IPOを管理する証券会社で多少の影響がある)
- 公開株数(少ない方がプラチナチケットになり易いが、当選しづらくなる)
- 売り出株式比率(新規発行分と既存分の比率で、低い方が上がり易い)
- ロックアップ(大株主が上場日から一定期間、売却できない期間のことで、長めの設定が良い)
- 株単価(安い方が、初値上昇率は高くなる傾向)
- 同日上場企業数(同日に複数社がIPOする場合は資産が分散して上がりづらい傾向)
これらの9項目の分析結果から、初値上昇があまり期待できそうにない企業については、予めBB申込を辞退して、マイナス=損失リスクを軽減しています。
初値上昇率の予想
過去6年間にIPO新規上場(IPO)した企業は591社で、評価スコア「C10」の企業は76社ありました。
それら企業における初値上昇率(=初値/公募価格)は以下の通りです。
過去データを基に算出した初値上昇率 横スクロールできます
平均値 | 142%(1.42倍) |
最大値 | 305%(3.05倍) |
最小値 | 83%(公募割れ) |
中央値 | 139%(1.39倍) |
過去6年間で公募割れした企業は7社あり、約9%の企業が初値で公募価格を下回ったことになります。
平均値とは、データの合計をデータの個数で割って得られる値=平均値に対して、中央値とは、データを大きさの順に並べ替えたとき、ちょうど順番が真ん中になる値です。平均値の場合は他の値と比べて極端に大きい(または小さい)値があることによって、影響を受けてしまいますが、中央値の場合は、真ん中の値ですので、そのような影響は受けづらいのが特徴です。
管理人のBBスタンス
過去のデータを分析した独自評価スコアに応じて、管理人のブックビルディング(BB)のスタンスを決めています。
過去データの分析結果から、エキサイトホールディングス社の初値は公募割れ(初値が公募価格を下回ること)のリスクが多少ありますが、「すべての所有口座からBB申込予定」です。
なお、主幹事のみずほ証券と大和証券が狙い目です。
最後に
不安定な世界情勢や世界各国の利上げ、さらには米シリコンバレー銀行の破綻やクレディ・スイスの破綻など、株式にとってはマイナス要因が多い状況なので、日本国内のIPO新規上場企業への株式投資に対しても、今まで以上に慎重に検討する必要が出てきています。
今回の記事が、あなたの投資判断に有益になれば幸いです。
最後に、あくまで営利を伴わない個人的な自己分析なので、最終的な投資判断は自己責任でお願い致します。