IPO

【クオリプス】新規上場企業データ分析

クオリプス株式会社は、iPS細胞を使った世界初の心筋細胞シートをはじめ様々な細胞製品の研究開発・製造を行っている企業です。

東京証券取引所(東証)または地方証券取引所へ新規上場予定の企業について、独自の視点でデータ分析しています。

企業概要

会社名

クオリプス株式会社

創立年

2017年3月21日

本社所在地

〒103-0023 東京都中央区日本橋本町3-11-5
日本橋ライフサイエンスビルディング2 507

事業内容

iPS細胞由来心筋細胞シートの開発・事業化

 

事業説明

クオリプス株式会社は、ヒトiPS細胞由来の再生医療等製品の開発・商業化及び独自の設計コンセプトに基づくラボ一体型の商業用細胞培養加工施設「CLiC-1」を利用した製造開発受託(CDMO)事業(以下「CDMO事業」)を通じて、世界中のひとびとの健康と人生に貢献する新たな医療を作り出していくことを主たる事業目的としている企業です。 ベンチャー企業としては独自性の高い事業構成を有しており、再生医療等製品承認前にも関わらず売上を計上している。

自社研究、大学等の研究機関及び大手製薬企業等との共同研究を通じて、心臓及びそれ以外の領域に係る再生医療等製品の提供及びCLiC-1を利用したCDMO事業を行っておりますが、主要な製品であるヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの事業モデルは、大学、大手製薬企業の共同研究を通じて得られた発明、ノウハウ等の成果物に対しては、当社が実施権の許諾を受け製造販売を行っています。大阪大学から取得した再実施許諾権付の独占的実施権及び第一三共株式会社と当社の間で締結した共同研究開発契約から発生した成果物及び第一三共株式会社が保有しているシート化 精製技術等を組合せ、ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの製造・販売を行う事業です。

 

 

財務状況

売上高、利益などの業績推移を目論見書からアップロードしました。

会社業績(IR BANKより) 横スクロールできます

年度 売上 営利 経常 純利 EPS ROE ROA 営利率 原価率 販管費率
Mar-18 -60百万 -27百万 -49.77 赤字
Mar-19 -144百万 -128百万 -68.71 赤字
Mar-20 -177百万 -180百万 -96.34 赤字
Mar-21 0.22百万 -282百万 -296百万 -308百万 -54.52 赤字 赤字 -128109.09 37.27 128171.82
Mar-22 14百万 -373百万 -373百万 -375百万 -66.12 赤字 赤字 -2682.84 23.43 2759.41

 

財務状況(IR BANKより) 横スクロールできます

年度 総資産 純資産 株主資本 自己資本比率 利益剰余金 BPS
Mar-18 4.25億 0.77億 18
Mar-19 10.7億 9.48億 88.5
Mar-20 11.6億 7.5億 64.5
Mar-21 43.6億 42.2億 42.2億 96.7 -6.43億 747.76
Mar-22 40.4億 39億 38.8億 95.9 -10.2億 683.49

 

IPO情報

新規上場(IPO)に向けて、幾つかの重要な情報をまとめました。

基本情報

業種:医薬品

銘柄コード:4894

上場区分:東証グロース

 

IPO日程

ご利用の証券会社によって、多少のズレが生じますので、ご注意ください。

IPO主要日程 横スクロールできます

ブックビルディング期間 2023年6月9日〜6月15日
ブックビルディング抽選日 2023年6月16日
購入申込期間 2023年6月19日〜6月21日
上場日 2023年6月27日

 

IPO情報

IPOに関する公募総数や公募価格(予定)をまとめます。

IPO情報 横スクロールできます

公募株式総数 2,20,000株
売出株式比率 22.7%
O.A分 330,000株
想定価格 1,560円
仮条件価格 1,400円(90%)〜1,560円(100%)
公募価格 1,560円(予定)
吸収金額 39.47億円(予定)
ロックアップ 主に90日間または2倍
主幹事 野村證券

 

今後の展望や懸念事項

クオリプス株式会社は、大阪大学との共同研究を通じて、以下に係る技術的な強みを保有しています。

  • ヒトiPS細胞の安定的な未分化継代培養
  • ヒトiPS細胞の分化誘導、分化細胞作製(特に、心筋細胞)
  • ヒトiPS細胞由来心筋細胞の高純度精製と未分化細胞除去
  • ヒトiPS細胞および分化細胞の分析、特性評価解析法

こうした強みは、iPS細胞由来の心筋細胞を用いた再生医療製品の開発と商業化のために不可欠で、心筋細胞のみならず他の臓器を対象としたiPS細胞を活用した創薬の研究ツールとしても有益です。

クオリプス株式会社の作製するヒトiPS細胞由来心筋細胞シートは、他の再生医療等製品(研究開発中の再生医療等製品を含む)と比べ、構成する細胞数が多いため、iPS細胞を大量にかつ同時に心筋細胞へ分化誘導することは高い難易度が要求されますが、iPS細胞を大量の心筋細胞に分化誘導を行い、残存する未分化の細胞を検出限界以下のレベルまで高度に除去することにより、心筋細胞を高純度に精製するという技術を有している点も優位です。

独自評価及びスコア

これまでの投資経験を活かしたデータ分析で、独自評価及びスコアを付けています。

独自評価スコア:D6

※独自評価スコアはD4(低評価)〜S20(高評価)まで存在します。

独自の評価指標

2017年1月から2023年5月までの過去6.5年間にIPO新規上場(IPO)した企業は、トータル615社でした。

それらの企業データから、以下の9の項目について、ホームページや目論見書(IPO時に発行される報告書)を調査して、上場前に初値上昇率や損失リスク度を分析しています。

  1. 業種(最近、情報通信業の初値上昇率は比較的高い傾向)
  2. 業績(売上高や利益率が健全に成長しているか)
  3. 上場市場(現在、東証プライムに上場する大型株は、初値が上昇しづらい傾向)
  4. 主幹事(IPOを管理する証券会社で多少の影響がある)
  5. 公開株数(少ない方がプラチナチケットになり易いが、当選しづらくなる)
  6. 売り出株式比率(新規発行分と既存分の比率で、低い方が上がり易い)
  7. ロックアップ(大株主が上場日から一定期間、売却できない期間のことで、長めの設定が良い)
  8. 株単価(安い方が、初値上昇率は高くなる傾向)
  9. 同日上場企業数(同日に複数社がIPOする場合は資産が分散して上がりづらい傾向)

これらの9項目の分析結果から、初値上昇があまり期待できそうにない企業については、予めBB申込を辞退して、マイナス=損失リスクを軽減しています。

初値上昇率の予想

2017年1月から2023年5月までの過去6.5年間にIPO新規上場(IPO)した企業は615社で、評価スコア「D6」の企業は37社ありました。

それら企業における初値上昇率(=初値/公募価格)は以下の通りです。

過去データを基に算出した初値上昇率 横スクロールできます

平均値 103%(1.03倍)
最大値 165%(1.65倍)
最小値 79%(公募割れ)
中央値 101%(1.01倍)

過去6.5年間で公募割れした企業は14ありましたので、初値の公募割れリスクは38%です。

平均値とは、データの合計をデータの個数で割って得られる値=平均値に対して、中央値とは、データを大きさの順に並べ替えたとき、ちょうど順番が真ん中になる値です。平均値の場合は他の値と比べて極端に大きい(または小さい)値があることによって、影響を受けてしまいますが、中央値の場合は、真ん中の値ですので、そのような影響は受けづらいのが特徴です

 

管理人のBBスタンス

過去のデータを分析した独自評価スコアに応じて、管理人のブックビルディング(BB)のスタンスを決めています。

公募割れリスクが高めで、また同日に人気を集めそうな別のIPO上場と重なっており、初値上昇の期待は薄いので、「IPOチャレンジポイントを獲得するためにSBI証券のみ100株のBB申込予定」です。

公開株数も多いのでBB当選しやすい案件で、特に主幹事の野村證券が狙い目です。

最後に

不安定な世界情勢や世界各国の利上げ、さらには米シリコンバレー銀行の破綻やクレディ・スイスの破綻など、株式にとってはマイナス要因が多い状況なので、日本国内のIPO新規上場企業への株式投資に対しても、今まで以上に慎重に検討する必要が出てきています。

今回の記事が、あなたの投資判断に有益になれば幸いです。

最後に、あくまで営利を伴わない個人的な自己分析なので、最終的な投資判断は自己責任でお願い致します。