IPO

【AeroEdge】新規上場企業データ分析

AeroEdge株式会社は、商業用航空機である仏Airbusと米Boeing社のエンジンである「LEAP」に搭載される、チタンアルミ製の低圧タービンブレードの加工生産・販売を行う企業です。

東京証券取引所(東証)または地方証券取引所へ新規上場予定の企業について、独自の視点でデータ分析しています。

企業概要

会社名

AeroEdge株式会社

創立年

2015年9月16日

本社所在地

〒329-4213 栃木県足利市寺岡町482-6

事業内容

  • 航空機エンジン部品の製造、販売
  • 自動車、鉄道、発電機等の部品の製造、販売
  • エンジニアリングサービスの提供

事業説明

AeroEdge株式会社は、「ゼロからイチを創る 〜常識を疑い、組織力で難しい課題に挑戦する〜」という経営理念のもと、ものづくり企業として、航空機エンジン部品、並びにその他製品の加工製造・販売を主な事業内容としており、商業用航空機である仏Airbus社製A320neoファミリー機と米Boeing社製737MAX機用エンジンである「LEAP」に搭載される、チタンアルミ製の低圧タービンブレードの加工生産・販売を行っています。

航空機エンジンは、主にファン、低圧コンプレッサー、燃焼器、高圧コンプレッサー、高圧タービン、低圧タービンから構成されておりますが、低圧タービンは、燃焼ガスのエネルギーを回転力に変換しシャフトを介してファンに伝達する役割を担っており、AeroEdge株式会社のチタンアルミブレードは、その低圧タービンの最後段を構成しております。

財務状況

売上高、利益などの業績推移を目論見書からアップロードしました。

会社業績(IR BANKより) 横スクロールできます

年度 売上 営利 経常 純利 EPS ROE ROA 営利率 原価率 販管費率
Jun-18 15.5億 -340百万 -350百万 -81.4 赤字
Jun-19 26億 -528百万 -561百万 -191.16 赤字
Jun-20 21.1億 -413百万 -463百万 -138.96 赤字
Jun-21 8.48億 -845百万 -757百万 -766百万 -229.78 赤字 赤字 -99.66 130.29 69.37
Jun-22 19.6億 -124百万 11百万 7.3百万 2.2 0.77 0.14 -6.32 71.47 34.85

 

財務状況(IR BANKより) 横スクロールできます

年度 総資産 純資産 株主資本 自己資本比率 利益剰余金 有利子負債 有利子負債比率 BPS
Jun-18 60.4億 27.9億 46.1
Jun-19 60.1億 16.2億 26.8
Jun-20 57.5億 17.5億 30.4
Jun-21 52.2億 9.83億 978百万 18.7 -17.9億 30.2億 308.4 293.47
Jun-22 53.6億 9.55億 986百万 17.7 -17.8億 32.7億 343.68 285.13

 

IPO情報

新規上場(IPO)に向けて、幾つかの重要な情報をまとめました。

基本情報

業種:倉庫・運輸関連業

銘柄コード:7409

上場区分:東証グロース

 

IPO日程

ご利用の証券会社によって、多少のズレが生じますので、ご注意ください。

IPO主要日程 横スクロールできます

ブックビルディング期間 2023年6月16日〜6月22日
ブックビルディング抽選日 2023年6月23日
購入申込期間 2023年6月26日〜6月28日
上場日 2023年7月4日

 

IPO情報

IPOに関する公募総数や公募価格(予定)をまとめます。

IPO情報 横スクロールできます

公募株式総数 799,600株
売出株式比率 54.0%
O.A分 119,900株
想定価格 1,460円
仮条件価格 1,460円(100%)〜1,690円(116%)
公募価格 1,690円(予定)
吸収金額 15.54億円(予定)
ロックアップ 主に180日間
主幹事 みずほ証券

 

今後の展望や懸念事項

世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が継続したものの、行動制限の緩和等による社会経済活動の正常化の動きが見られました。また、航空輸送業界においては、新型コロナウイルス感染症による航空需要の急激な減少に伴い、航空会社は甚大な影響を受けましたが、移動制限の緩和が進むにつれ、国内線需要の急激な回復に加え、 国際線需要についても回復しつつあります。

また、昨今多くの航空会社は大型機を活用し、主要空港などの大規模拠点(ハブ)に輸送を集中させ、そこから中小型機を活用して各拠点(スポーク)に輸送を行うハブアンドスポーク方式ではなく、中小型機等を活用し、出発地から目的地に直接輸送を行うポイントトゥポイント方式を採用する傾向があります。これは、エンジン性能の向上による規制緩和や、中小型機の燃費向上に伴う長距離飛行の実現に伴い、ポイントトゥポイント方式の方が、乗換等の手間が不要で柔軟なフライト設定が可能となるためです。こういった背景により、仏Airbus社の中小型機であるA320シリーズ、米Boeing社の中小型機である737シリーズは、新型コロナウイルス禍により落ち込んだ 時期を除いて継続して引渡数が増加しております。

航空機エンジンメーカー大手である仏SAFRAN社と、LEAPエンジンに搭載される、当該チタンアルミブ レード需要の35%のシェアを、原則として一定の価格で供給する契約を締結しているため、AeroEdge社のチタンアルミブレード生産量は、LEAPエンジンの生産量、並びにLEAPエンジンが搭載される737MAX及びA320neoファミリー等の生産量に影響を受けることとなります。一方で、航空機販売の特徴として、そのリードタイムの関係上、数年前から受注を受け付けることから、長期に渡って受注残高を積み上げることとなり、その結果、他業界と異なり、需要予測が長期間に渡って見込みやすい業界です。AeroEdge社においても、仏SAFRAN社からは数週間分の確定発注とともに、一定期間の発注見込みも提示されることから、一定程度の高い販売予測を見込むことができ、販売単価についても契約によって定められているため、売上金額は一定の精度で見込むことができます。また、将来の増産に対応する設備を確保していること、材料が無償支給であることによる変動費の低さから、売上増加に 伴う利益率の拡大が期待できる収支モデルとなっております。

独自評価及びスコア

これまでの投資経験を活かしたデータ分析で、独自評価及びスコアを付けています。

独自評価スコア:C11

※独自評価スコアはD4(低評価)〜S20(高評価)まで存在します。

独自の評価指標

2017年1月から2023年5月までの過去6.5年間にIPO新規上場(IPO)した企業は、トータル615社でした。

それらの企業データから、以下の9の項目について、ホームページや目論見書(IPO時に発行される報告書)を調査して、上場前に初値上昇率や損失リスク度を分析しています。

  1. 業種(最近、情報通信業の初値上昇率は比較的高い傾向)
  2. 業績(売上高や利益率が健全に成長しているか)
  3. 上場市場(現在、東証プライムに上場する大型株は、初値が上昇しづらい傾向)
  4. 主幹事(IPOを管理する証券会社で多少の影響がある)
  5. 公開株数(少ない方がプラチナチケットになり易いが、当選しづらくなる)
  6. 売り出株式比率(新規発行分と既存分の比率で、低い方が上がり易い)
  7. ロックアップ(大株主が上場日から一定期間、売却できない期間のことで、長めの設定が良い)
  8. 株単価(安い方が、初値上昇率は高くなる傾向)
  9. 同日上場企業数(同日に複数社がIPOする場合は資産が分散して上がりづらい傾向)

これらの9項目の分析結果から、初値上昇があまり期待できそうにない企業については、予めBB申込を辞退して、マイナス=損失リスクを軽減しています。

初値上昇率の予想

2017年1月から2023年5月までの過去6.5年間にIPO新規上場(IPO)した企業は615社で、評価スコア「C11」の企業は74社ありました。

それら企業における初値上昇率(=初値/公募価格)は以下の通りです。

過去データを基に算出した初値上昇率 横スクロールできます

平均値 177%(1.77倍)
最大値 437%(4.37倍)
最小値 85%(公募割れ)
中央値 161%(1.61倍)

 

過去6.5年間で公募割れした企業は4ありましたので、初値の公募割れリスクは5%です。

平均値とは、データの合計をデータの個数で割って得られる値=平均値に対して、中央値とは、データを大きさの順に並べ替えたとき、ちょうど順番が真ん中になる値です。平均値の場合は他の値と比べて極端に大きい(または小さい)値があることによって、影響を受けてしまいますが、中央値の場合は、真ん中の値ですので、そのような影響は受けづらいのが特徴です

 

管理人のBBスタンス

過去のデータを分析した独自評価スコアに応じて、管理人のブックビルディング(BB)のスタンスを決めています。

ほんの僅かに公募割れリスクがありますが、初値上昇は期待できますので、「すべての証券口座から全力でBB申込予定」です。

主幹事のみずほ証券が狙い目です。

最後に

不安定な世界情勢や世界各国の利上げ、さらには米シリコンバレー銀行の破綻やクレディ・スイスの破綻など、株式にとってはマイナス要因が多い状況なので、日本国内のIPO新規上場企業への株式投資に対しても、今まで以上に慎重に検討する必要が出てきています。

今回の記事が、あなたの投資判断に有益になれば幸いです。

最後に、あくまで営利を伴わない個人的な自己分析なので、最終的な投資判断は自己責任でお願い致します。